民法第764条
条文
編集(婚姻の規定の準用)
解説
編集- 婚姻の規定の一部が協議上の離婚に適用されることを規定、明治民法第810条を継承する。なお、協議上の離縁に関する準用規定(民法第812条)も同旨である。
- 協議上の離婚と婚姻とは共に身分行為であり、また合意の成立と届出が要件とされている点で共通する。
- 準用による読替え
- 民法第738条(成年被後見人の婚姻)
- 成年被後見人が離婚をするには、その成年後見人の同意を要しない。
- 離婚は身分行為であるので、成年被後見人であってもその成年後見人の同意を要しない。
- 成年被後見人が離婚をするには、その成年後見人の同意を要しない。
- 民法第739条(婚姻の届出)
- 離婚は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
- 届出主義
- 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
- 離婚は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
- 民法第747条(詐欺・強迫による婚姻の取消し)
- 詐欺又は強迫によって離婚をした者は、その離婚の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
- 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。
- 民法第738条(成年被後見人の婚姻)
参照条文
編集判例
編集- 離婚届出無効確認請求(最高裁判例 昭和34年08月07日)民法第763条、民法第742条、民法第802条
- 協議離婚届出書作成後の飜意と届出の効力
- 合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない(=協議離婚届出は無効である)。
- 協議離婚届出書作成後の飜意と届出の効力
- 離婚無効確認請求(最高裁判例 昭和38年11月28日)民法第763条、民法第739条
- 事実上の婚姻関係を維持しつつ協議離婚を有効と認めた事例
- 妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合でも、両名が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるときは、右協議離婚は無効とはいえない(=離婚は有効に成立する)。
- 事実上の婚姻関係を維持しつつ協議離婚を有効と認めた事例
参考
編集明治憲法において、本条には以下の規定があったが、家制度廃止に伴い削除。
- 戸主ヲ失ヒタル家ニ家督相続人ナキトキハ絶家シタルモノトシ其家族ハ各一家ヲ創立ス但子ハ父ニ随ヒ又父カ知レサルトキ、他家ニ在ルトキ若クハ死亡シタルトキハ母ニ随ヒテ其家ニ入ル
- 前項ノ規定ハ第七百四十五条ノ適用ヲ妨ケス
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