条文

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(嫡出否認の訴え)

第775条
  1. 次の各号に掲げる否認権は、それぞれ当該各号に定める者に対する嫡出否認の訴えによって行う。
    1. 父の否認権
      子又は親権を行う母
    2. 子の否認権
    3. 母の否認権
    4. 前夫の否認権
      父及び子又は親権を行う母
  2. 前項第1号又は第4号に掲げる否認権を親権を行う母に対し行使しようとする場合において、親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。

改正経緯

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2022年改正にて以下の条文から改正(2024年(令和6年)4月1日施行)。

前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。

解説

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民法第774条により否認権の行使方法、及び行使の相手方についての規定である。明治民法第823条を継承。
出訴期間については、民法第777条を参照。
子が死亡している場合は、嫡出否認の訴えにより親子関係を否定することはできない。
妻の再婚によって嫡出推定が重複するような場合においては、「父を定める訴え」によって父親を決定することになる。
妻が産んだ子ではなく、他人の子が戸籍上嫡出子とされているような場合においては、嫡出否認の訴えによる必要はなく、「父子関係不存在確認の訴え」を使えばよいと解されている。
具体的な挙証の問題については、裁判官の自由な心証に委ねられる(自由心証主義
なお、父母でない者の嫡出子として戸籍に記載されている者が、実父又は実母に対する認知の訴を提起することは、その前提として嫡出否認の訴えを起こしその戸籍の訂正をまつまでもなく可能である(最高裁判決昭和49年10月11日)。

参照条文

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参考文献

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  • 『民法(5)親族・相続(第3版)』有斐閣新書(1989年、有斐閣)97頁-104頁(川田昇執筆部分)
  • 泉久雄『親族法』(1997年、有斐閣)194頁-204頁

参考

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明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、民法第739条に継承された。

  1. 婚姻ハ之ヲ戸籍吏ニ届出ツルニ因リテ其効力ヲ生ス
  2. 前項ノ届出ハ当事者双方及ヒ成年ノ証人二人以上ヨリ口頭ニテ又ハ署名シタル書面ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス

前条:
民法第774条
(嫡出の否認)
民法
第4編 親族

第3章 親子

第1節 実子
次条:
民法第776条
(嫡出の承認)


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