法学コンメンタール行政手続法

条文 編集

(意見公募手続)

第39条
  1. 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。
  2. 前項の規定により公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければならない。
  3. 第1項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して30日以上でなければならない。
  4. 次の各号のいずれかに該当するときは、第1項の規定は、適用しない。
    一 公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第1項の規定による手続(以下「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき。
    二 納付すべき金銭について定める法律の制定又は改正により必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法についての命令等その他当該法律の施行に関し必要な事項を定める命令等を定めようとするとき。
    三 予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法その他の事項を定める命令等を定めようとするとき。
    四 法律の規定により、内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項に規定する委員会又は内閣府設置法第37条若しくは第54条若しくは国家行政組織法第8条に規定する機関(以下「委員会等」という。)の議を経て定めることとされている命令等であって、相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として、法律又は政令の規定により、これらの者及び公益をそれぞれ代表する委員をもって組織される委員会等において審議を行うこととされているものとして政令で定める命令等を定めようとするとき。
    五 他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするとき。
    六 法律の規定に基づき法令の規定の適用又は準用について必要な技術的読替えを定める命令等を定めようとするとき。
    七 命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするとき。
    八 他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理その他の意見公募手続を実施することを要しない軽微な変更として政令で定めるものを内容とする命令等を定めようとするとき。

解説 編集

第四項第八号 編集

命令等を新規に定める場合には、原則としては「軽微な変更」には該当しない。

また、内容として「軽微」であることを意味するものであるから、量的又は形式的には軽微とはいえない程度の変更であっても、その実質的な内容の変化が「軽微」である限り、本号に該当する。

「軽微な変更」に該当するものについては、その内容を本法施行令第四条第二項各号において、次の二類型を特定している[1]

他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理 編集

「規定の整理」とは、新規法令の施行、既存法令の一部改正・廃止に伴いなされる用語の整理や条項の移動など、必然的に改廃を要するもの、すなわち、関係する命令等の「整理」を行う場合をいう。他の法令の制定又は改廃に伴ってなされる実質的な政策判断に基づいた改正については、単なる「整理」ではないため本号には該当しない

前号に掲げるもののほか、用語の整理、条、項又は号の繰上げまたは繰り下げその他の形式的な変更 編集

「他の法令」の制定又は改廃に伴うものではなく、条約や同一法令などの制定又は改廃に伴うものであるため、第一号の規定には当たらないものの、実質的な内容の変更をもたらさない形式的な変更をする場合の規定である。

「用語の整理」とは、命令等で用いられていたある用語について、同一の意義をもつ別の用語に置き換える場合などをいう。

「その他の形式的な変更」としては、例えば、意義の変更が全くない「てにをは」・句読点の変更、市町村合併等に伴う地名・地番等の変更などを指す。

参照条文 編集

判例 編集

引用文献 編集

  1. ^ 「(意見公募手続)第三十九条」『逐条解説 行政手続法』 行政管理研究センター(IAM)、ぎょうせい、2016年5月20日、改正行審法対応版、292 - 315頁。ISBN 978-4-324-10131-5

前条:
第38条
(命令等を定める場合の一般原則)
行政手続法
第6章 意見公募手続等
次条:
第40条
(意見公募手続の特例)


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