ラテン文学の作家と著作

ラテン文学

はじめに

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ラテン文学 すなわちラテン語で著わされた文学などの代表的な作家と著作全般についてまとめる。一口に「ラテン文学」といっても、詩・戯曲・小説などの文芸作品だけに限らず、博物誌など人文系でない著作も含まれる。また、「ラテン文学」は狭義には古代ローマ人や帝国内の領民が著わした著作を指すことが多いが、広義にはルネサンス以降の近世・近代ヨーロッパ人が著わした著作も含む。

ラテン文学黄金期の代表的な作家としては、散文ではキケローカエサルが双璧とされる。リーウィウスが著したローマ史は、ラテン文学黄金期の白眉と評されている。韻文では叙事詩のウェルギリウス、抒情詩のホラティウス、恋愛詩などのオウィディウスがラテン文学黄金期の三大詩人と称される。

ラテン文学白銀期の代表的な作家としては、ストア派哲学者・悲劇作家として知られるセネカ (小セネカ)、有名な『博物誌』を著したプリーニウス (大プリーニウス)、ローマ第一の歴史家と称えられるタキトゥスらが著名である。

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作家と著作


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著名な作家の一覧

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ラテン語で著作を著わした著名な作家を、時代区分・生没年の順に配列した一覧表。
日本語名・ラテン語名・英語名・仏語名ごとにソートすることができるようになっている。

時代
区分
生没年 日本語名 ラテン語名 ジャンル 代表作 備  考
古ラテン 前284頃-205頃 リーウィウス・アンドロニークス Livius
Andronicus
悲劇・喜劇 オデュッセイア」の翻案 「ラテン文学の父」
古ラテン 前270頃-201頃 ナエウィウス Naevius 叙事詩・悲劇 『ポエニ戦争』 ローマ国民叙事詩の創始者
古ラテン 前254頃-184 プラウトゥス Plautus 喜劇 『金の小壺』
『幽霊』
ラテン喜劇の
最大の作家
古ラテン 前239頃-169頃 エンニウス Ennius 叙事詩 『年代記』 「ラテン詩の父」
古ラテン 前234-149 カトー
(大カトー)
Cato maior 散文 『農耕論』
『起源史』
「ラテン散文の父」
古ラテン 前220頃-166頃 カエキリウス Caecilius
Statius
喜劇
古ラテン 前220-130頃 パークウィウス Pacuvius 悲劇
古ラテン 前195頃-159頃 テレンティウス Terentius 喜劇 『アンドロスの女』
『ポルミオ』ほか
古ラテン 前180頃-102頃 ルーキーリウス Lucilius 諷刺詩 諷刺詩の創始者
古ラテン 前170頃-86頃 アッキウス Accius
(Attius)
悲劇
黄金期 前116-27 ウァッロー
(ウァロ、ワロ)
Varro 博物学 『農業論』
ほか、散逸多数
ローマ最大の
人文学者
黄金期 前114-50 ホルテーンシウス Hortensius
Hortalus
弁論
・年代記など
(散逸) キケローの好敵手として有名
黄金期 前110頃-66 リキニウス・
マケル
Licinius Macer 弁論
・年代記
『年代記』
黄金期 前110-32 アッティクス Atticus 著述 『年代記』 キケローの親友として有名
黄金期 前106-43 キケロー Cicero 弁論・
哲学
『カティリーナ弾劾』
『義務について』
 ほか多数
ラテン散文の
完成者・模範
とみなされる
黄金期 前100-44 カエサル Caesar 戦記 ガリア戦記
内乱記
キケローと並ぶ
ラテン散文の
完成者・模範
黄金期 前100頃-25頃 ネポース Cornelius Nepos 伝記 『著名な人物について』
ほか、散逸
黄金期 前99頃-55頃 ルクレーティウス Lucretius 哲学的叙事詩 『物の本性について』
黄金期 前86-35 サッルスティウス Sallustius 歴史 『カティリーナの陰謀』
『ユグルタ戦記』
黄金期 前82頃-47 カルウス Calvus 弁論・詩 (散逸)
黄金期 前105頃-43 ラベリウス Laberius ミモス劇
黄金期 前85頃-43 シュルス
(シルス)
Syrus ミモス劇
・格言
『格言集』
黄金期 前84頃-54頃 カトゥッルス Catullus 抒情詩・
恋愛詩
『詩集』
黄金期 前80/50-15以後 ウィトルーウィウス Vitruvius 建築、
軍事技術
『建築について』
黄金期 前75-後4 アシニウス・ポッリオ Asinius Pollio 詩、劇作、
歴史など
(伝存せず)[1]
黄金期 前70頃-26 ガッルス(ガルス) Gallus エレゲイア詩、
弁論
(ほぼ散逸) ラテン語エレゲイア詩
の創始者、大詩人
黄金期 前70-19 ウェルギリウス Vergilius 叙事詩 『アエネーイス』
『牧歌』 『農耕詩』
黄金期の最高の詩人
とみなされる
黄金期 前65-8 ホラーティウス Horatius 抒情詩 『詩論』 『歌章』
『諷刺詩』 『書簡詩』
黄金期の三大詩人の
一人とされる
黄金記 前64頃-後17 ヒュギーヌス Hyginus 博物 『神話集』など。
散逸多数。
黄金期 前59頃-後17 リーウィウス Livius 年代記 『ローマ建国
以来の歴史』
彼の著作は
黄金期の白眉
と評される
黄金期 前55頃-前19 ティブッルス Tibullus エレゲイア詩 詩集
黄金期 前43-後17頃 オウィディウス Ovidius エレゲイア詩 変身物語
『祭暦』 『名婦の書簡』
『愛の技法』 『悲歌』
黄金期の三大詩人の
一人とされる
黄金期 前50頃-前15頃 プロペルティウス Propertius エレゲイア詩 『詩集』 エレゲイア詩
の完成者
黄金期 前1世紀頃 ポンペイウス
・トログス
Pompeius
Trogus
博物 『ピリッポス史』
『動物について』
黄金期 後1世紀初め頃 マーニーリウス Manilius 叙事詩的
教訓詩
・占星術
『アストロノミカ』
(占星術書)
白銀期 前54頃-後39頃 大セネカ Seneca
maior
修辞学 『論争と説得法』 小セネカの父で、
ルーカーヌスの祖父
白銀期 ?-後45頃 ポンポーニウス
・メラ
Pomponius
Mela
地誌 『世界地理』
白銀期 前25頃-後50頃 ケルスス Celsus 博物 百科事典を著したが、
医学論のみ現存
白銀期 後1世紀頃 クルティウス
・ルフス
Curtius
Rufus
伝記 『アレクサンドロス大王伝』
白銀期 後1世紀頃 ウァレリウス
・マクシムス
Valerius Maximus 説話 『有名言行録』
白銀期 前19頃-後31頃 ウェッレーイウス
・パテルクルス
Velleius
Paterculus
歴史 『歴史』
白銀期 前15頃-後50頃 パエドルス
(ファエドルス)
Phaedrus 寓話 『寓話集』
白銀期 前4頃-後65 セネカ
(小セネカ)
Seneca
minor
道徳哲学・
政治哲学・
悲劇
『幸福なる生活』
『道徳書簡』
ほか
ストア哲学者、
白銀期を
代表する文人
白銀期 後4-70頃 コルメッラ Columella 農学 『農耕論』
白銀期 後22頃-95頃 ウァレリウス
・フラックス
Valerius
Flaccus
叙事詩 『アルゴナウティカ』
ラテン語版
白銀期 後23頃-79 プリーニウス
(大プリーニウス)
Plinius
Secundus
博物 博物誌
白銀期 後28頃-103頃 シーリウス
・イータリクス
Silius
Italicus
叙事詩 『プニカ』
白銀期 後27頃-66 ペトローニウス Petronius 諷刺小説 サテュリコン
白銀期 後34-62 ペルシウス Persius 諷刺詩 『諷刺詩』
白銀期 後35頃-100頃 クインティリアーヌス Quintilianus 修辞学 『弁論術教程』
白銀期 後39-65 ルーカーヌス Lucanus 叙事詩 『内乱記』
(『パルサリア』)
白銀期 後40頃-103頃 フロンティーヌス Frontinus ローマ水道
・戦術
『水道論』
『戦術論』
白銀期 後41頃-104頃 マルティアーリス Martialis エピグラム詩
・諷刺
『エピグラム集』
白銀期 後45頃-96頃 スターティウス Statius 叙事詩 テーバイ物語
『シルウァエ』
白銀期 後50頃-2世紀頃 ユウェナーリス Iuvenalis 諷刺詩 『諷刺詩集』
白銀期 後56頃-120頃 タキトゥス Tacitus 年代記など 『年代記』
『同時代史』
ゲルマーニア
『アグリコラの生涯と性格』
白銀期 後61-113頃 小プリーニウス Plinius
minor
雄弁・書簡 『書簡集』
白銀期 後69頃-122以降 スエートーニウス Suetonius 伝記 『ローマ皇帝伝』
白銀期 後70頃-140頃 フロールス Florus 歴史・
『ローマ史概略』
『ウェルギリウスは
弁論家か詩人か』
Publius Annius Florus あるいは
Lucius Annaeus Florus
などとされる場合もある
白銀期 後124頃-170頃 アープレーイウス Apuleius 小説 『変身物語』
(『黄金のろば』)
白銀期 後125頃-180頃 ゲッリウス Gellius 小説 『アッティカ夜話』
白銀期 後130頃-180頃 ガイウス Gaius 法学 『法学提要』
後期 155頃-240頃 テルトゥッリアーヌス Tertullianus キリスト教神学
後期 後3-4世紀頃 ユスティーヌス Iustinus 歴史 ポンペイウス・トログスの
『ピリッポス史』の抄録
後期 後320頃-390頃 アウレリウス・ウィクトル Aurelius
Victor
伝記 『ローマ皇帝列伝』
後期 後330頃-395頃 マルケッリーヌス Ammianus
Marcellinus
歴史 『歴史』 タキトゥス以後のローマ史を叙述
後期 後4世紀頃 エウトロピウス Eutropius 歴史 『ローマ史』
後期 後339頃-397 アンブロシウス Ambrosius キリスト教神学 『聖職について』、
アンブロジオ聖歌
古代ローマ教会の司教・教父
後期 後347頃-420 ヒエローニュムス Hieronymus キリスト教神学 ウルガータ
(ラテン語訳聖書)
後期 後348-410頃 プルーデンティウス Prudentius キリスト教ラテン詩 『霊魂をめぐる闘い』
(プシュコマキア)、ほか
後期 後4世紀後半-5世紀頃 ホノーラートゥス Honoratus 文法 ウェルギリウス作品の注釈書
後期 後354-430 アウグスティーヌス Augustinus キリスト教神学 告白』、『神の国
後期 後370頃-430以後 マクロビウス[2] Macrobius 文献学、
哲学
『サトゥルナリア』
『スキピオの夢の注釈』
後期 後4世紀頃 スパルティアーヌス他 Spartianus 歴史 ローマ皇帝群像 著者と推定される6名
後期 後477頃-524 ボエーティウス Boethius 哲学 哲学の慰め ローマ末期の政治家・哲学者
後期 後485頃-585 カッシオドールス Cassiodorus 著述 『年代記』 『ゴート史』
『教育方法論』 ほか
ローマ末期の政治家・修道士
中世 1079-1142 アベラール Abaelardus スコラ哲学・神学 『愛の往復書簡』ほか

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脚 注

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  1. ^ 伝存しない史書はアッピアノスプルタルコスの引用で知られる
  2. ^ マクロビウスとは - コトバンク などを参照。

関連項目

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英語の関連項目

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英語版ウィキペディア

仏語の関連項目

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仏語版ウィキペディア

外部リンク

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