刑法第21条
条文
編集(未決
- 第21条
- 未決
勾 留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入することができる。
解説
編集未決勾留日数とは、被疑者が逮捕され、判決が確定するまでの間に留置場や拘置所に勾留されていた期間のことである。裁判官は裁量により、この期間を刑期に算入することができる。
判例
編集- 詐欺(最高裁判決 昭和30年12月26日)刑訴法第336条
- 一部無罪と本刑に算入すべき未決勾留日数
- 裁判所が、同一被告人に対する数個の公訴事実を併合して審理する場合には、無罪とした公訴事実につき発せられた勾留状の執行により生じた未決勾留日数を、他の有罪とした公訴事実の本刑に算入することができるものと解するを担当とする。
- 出入国管理令違反等(最高裁判決 昭和32年12月25日)憲法第22条
- 懲役刑執行と未決勾留とが競合するときの未決勾留日数の算入の適否
- 被告人が勾留状の執行により未決勾留中、他の事件の確定判決により懲役刑の執行を受けるに至つたときは、懲役刑の執行と競合する未決勾留日数を本刑に算入することは違法である。
- 傷害(最高裁判決 昭和40年07月09日)
- 他事件につき本刑たる自由刑に算入された未決勾留と重複する未決勾留をさらに本刑たる自由刑に算入することは違法か
- 他事件につき本刑たる自由刑に算入された未決勾留と重複する未決勾留を、さらに本刑たる自由刑に算入することは、刑法第21条、刑訴法第495条の趣旨に違反し許されない。
- 右重複の有無、範囲を判断するについての本刑算入未決勾留日数の取扱方
- 右重複の有無、範囲を判断するにあたり、本刑に算入された未決勾留の日数は、刑の執行があつたとされる刑量を示すにすぎないものとして扱うべきで、未決勾留期間中の暦に従つた特定の日を起算日としての刑の執行があつたものとすべきではない。
- 詐欺(最高裁判決 昭和43年07月11日)
- 勾留請求の日の翌日以降に勾留状が発せられその執行がなされた場合における未決勾留日数の起算日
- 逮捕に引き続いて勾留の請求がなされ、その請求の日の翌日以降に勾留状が発せられその執行がなされた場合、刑法第21条によつて算入の対象となる未決勾留日数は、勾留状の執行がなされた日からこれを起算すべきである。
- 尊属殺人(最高裁判決 昭和46年04月15日)
- 控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合と未決勾留日数の刑法21条による本刑算入
- 控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合には、控訴申立後の未決勾留日数は、刑訴法第495条2項2号により、判決が確定して本件の執行される際当然に全部本件に通算されるべきものであつて、刑法21条により判決においてその全部または一部を本刑に算入する旨の言渡をすべきでない。
- 窃盗(最高裁決定 昭和46年09月21日)
- 判決宣告日は、裁定通算の対象となる
- 覚せい剤取締法第違反(最高裁判決 昭和49年06月27日)
- 別件懲役と重複した未決誤算入を理由にした破棄自判
- 有印公文書変造、同行使、有印私文書変造、同行使、有印私文書偽造、同行使、窃盗(最高裁判決 昭和52年07月01日)
- 他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留の裁定算入又は法定通算
- 他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留を、さらに本件の本刑に裁定算入又は法定通算することは、違法である。
- 常習累犯窃盗(最高裁判決 昭和55年12月23日)刑法第130条,盗犯等の防止及び処分に関する法律第3条
- 不起訴となつた住居侵入の罪についての未決勾留日数を右と一罪の関係にある常習累犯窃盗の罪の本刑に算入することの可否
- 不起訴となつた住居侵入の罪についての未決勾留日数は、右と一罪の関係にある常習累犯窃盗の罪の本刑に算入することができる。
- 窃盗,出入国管理及び難民認定法第違反被告事件(最高裁判決 平成18年08月30日)刑法第45条前段,刑法第48条1項
- 併合罪関係にある数罪を併合審理して1個の主文による刑を言い渡す場合と刑法21条にいう「本刑」
- 併合罪関係にある数罪を併合審理して1個の主文による刑を言い渡す場合,その刑が刑法21条にいう「本刑」に該当し,この理は,その刑が懲役刑と罰金刑を併科するものであるときでも異ならない。
- 住居侵入,強盗致傷被告事件(最高裁判決 平成23年07月21日)刑訴法405条2号
- 原判決中未決勾留日数算入部分が破棄された事例
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