法学民事法商法コンメンタールコンメンタール手形法

条文

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第11条  
  1. 為替手形ハ指図式ニテ振出サザルトキト雖モ裏書ニ依リテ之ヲ譲渡スコトヲ得
  2. 振出人ガ為替手形ニ「指図禁止」ノ文字又ハ之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ヲ記載シタルトキハ其ノ証券ハ民法(明治二十九年法律第八十九号)第三編第一章第四節ノ規定ニ依ル債権ノ譲渡ニ関スル方式ニ従ヒ且其ノ効力ヲ以テノミ之ヲ譲渡スコトヲ得
  3. 裏書ハ引受ヲ為シタル又ハ為サザル支払人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シテモ之ヲ為スコトヲ得此等ノ者ハ更ニ手形ヲ裏書スルコトヲ得

改正経緯

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2017年民法改正により債権概念が整理され指名債権概念がなくなったため第2項が以下の文言から改正された。

  1. 振出人ガ為替手形ニ「指図禁止」ノ文字又ハ之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ヲ記載シタルトキハ其ノ証券ハ指名債権ノ譲渡ニ関スル方式ニ従ヒ且其ノ効力ヲ以テノミ之ヲ譲渡スコトヲ得

解説

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  1. 為替手形は、指図式にて振出さないときでも、裏書によってこれを譲渡することができる。
  2. 振出人が為替手形に「指図禁止」の文字又はこれと同一の意義を有する文言を記載したときは、その証券は、民法(明治29年法律第89号)第3編第1章第4節の規定による債権の譲渡に関する方式にしたがって、かつ、その効力をもってのみこれを譲渡することができる。
    • 「指図禁止」の文言が付された場合、同証券は裏書譲渡できない(=手形の機能を失う)。
    • ただし、証拠証券として効力を失うわけではなく、債権譲渡の方式により移動することは可能である。
  3. 裏書は、引受をした又はしない支払人、振出人その他の債務者に対してもこれをすることができる。これらの者は、更に手形を裏書することができる。

参照条文

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判例

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  1. 約束手形金請求(最高裁判決 昭和24年05月31日)民法第534条,民法第446条
    1. 特定物の売買においてその物が引渡前空襲により滅失した場合と代金債務支払のために振り出された手形債権の効力
      特定物の売買においては、その物が引渡前空襲により滅失したとしても、売主の代金債権が消滅する理由がなく、従つてこれにより、その代金支払のために振り出された手形の振出が原因を欠くに至つたものとはいえない。
    2. 手形振出人に対し手形債務の確認とその手形債務を保証する目的でした手形裏書人に対しその債務について給付の判決を求めることの可否
      手形の裏書人が振出人の手形債務を保証する目的で裏書をした場合においても、裏書人の債務と振出人の債務とは別個の債務であるから手形債権者が振出人に対して、単に手形債権の確認判決を求め、また裏書人に対しては、手形債務についての給付の判決を求めてもなんら差支えない。
  2. 約束手形金請求(最高裁判決 昭和49年02月28日)民法第467条
    裏書によらない手形債権の譲渡の性質
    約束手形の受取人甲が、乙からその手形の割引を受け、裏書をしないでこれを乙に交付したときは、甲は、指名債権譲渡の方法によつて乙に右手形債権を譲渡したものと解するのが相当である。
  3. 約束手形金(最高裁判決 昭和53年04月24日)手形法第77条1項
    手形面上印刷された指図文句を抹消することなく指図禁止文句が併記された場合と裏書禁止手形
    手形の振出人が、手形用紙に印刷された指図文句を抹消することなく、指図禁止文句を記載したため、手形面上指図文句と指図禁止文句が併記されている場合には、他に特段の事情のない限り、右手形は裏書禁止手形にあたる。
  4. 債務不存在確認本訴、約束手形金反訴(最高裁判決 昭和56年10月01日)手形法第77条1項
    約束手形の受取人の氏名に続けて「限り」と明白に読みとれる記載がある場合と手形法11条2項
    統一手形用紙を使用した約束手形の受取人欄に受取人の氏名に続けて「限り」と明白に読みとれる記載がある場合には、右記載は、手形法11条2項にいう指図禁止と同一の意義を有する文言の記載にあたる。

前条:
第10条
手形法
第2章 裏書
次条:
第12条
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