法学民事法コンメンタールコンメンタール民事執行法

条文

編集

(配当等のための移行等)

第167条の11
  1. 第167条の14第1項において準用する第156条第1項若しくは第2項又は第157条第5項の規定により供託がされた場合において、債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができないため配当を実施すべきときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
  2. 前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令又は差押処分が発せられたときは、執行裁判所は、同項に規定する地方裁判所における債権執行の手続のほか、当該差押命令を発した執行裁判所又は当該差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続にも事件を移行させることができる。
  3. 第1項に規定する供託がされた場合において、債権者が一人であるとき、又は債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができるときは、裁判所書記官は、供託金の電子交付計算書(裁判所書記官が、最高裁判所規則で定めるところにより、弁済金及び剰余金を交付するために、供託金の額、各債権者の債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額、執行費用の額並びに弁済金の交付の順位及び額を記録して作成する電磁的記録をいう。)をファイルに記録して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
  4. 前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられたときは、執行裁判所は、同項の規定にかかわらず、その所在地を管轄する地方裁判所又は当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
  5. 差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられた場合において、当該差押命令を発した執行裁判所が第161条第6項において準用する第109条の規定又は第166条第1項第2号の規定により配当等を実施するときは、執行裁判所は、当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
  6. 第1項、第2項、第4項又は前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
  7. 第84条第4項及び第5項、第88条第91条(第1項第6号及び第7号を除く。)、第92条第1項及び第3項から第7項まで並びに第166条第3項の規定は第3項の規定により裁判所書記官が実施する弁済金の交付の手続について、前条第3項の規定は第1項、第2項、第4項又は第5項の規定による決定について、同条第6項の規定は第1項、第2項、第4項又は第5項の規定による決定が効力を生じた場合について、それぞれ準用する。この場合において、第166条第3項中「差押命令」とあるのは、「差押処分」と読み替えるものとする。

改正経緯

編集

2023年改正

編集

以下のとおり改正。

  1. 【2026年5月末日まで施行】
    第7項
    (改正前)第92条第1項並びに
    (改正後)第92条第1項及び第3項から第7項まで並びに
  2. 【2028年6月末日まで施行】
    1. 第3項
      (改正前)供託金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、
      (改正後)
      供託金の電子交付計算書(裁判所書記官が、最高裁判所規則で定めるところにより、弁済金及び剰余金を交付するために、供託金の額、各債権者の債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額、執行費用の額並びに弁済金の交付の順位及び額を記録して作成する電磁的記録をいう。)をファイルに記録して、債権者に弁済金を交付し、
    2. 第7項
      (改正前)第84条第3項及び第4項、
      (改正後)第84条第4項及び第5項、

2019年改正

編集

以下のとおり改正。

  1. 第1項
    (改正前)又は第167条の14において準用する
    (改正後)又は第167条の14第1項において準用する
  2. 第5項
    (改正前)第161条第6項において準用する
    (改正後)第161条第7項において準用する
  3. 第7項
    1. (改正前)並びに第92条第1項の規定は
      (改正後)、第92条第1項並びに第166条第3項の規定は
    2. (改正前)場合について準用する。
      (改正後)場合について、それぞれ準用する。この場合において、第166条第3項中「差押命令」とあるのは、「差押処分」と読み替えるものとする。

解説

編集

準用規定

編集
第3項の規定により裁判所書記官が実施する弁済金の交付の手続
  • 第84条(売却代金の配当等の実施)第4項及び第5項
  • 第88条(期限付債権の配当等)
  • 第91条(配当等の額の供託)第1項第6号及び第7号を除く。
  • 第92条(権利確定等に伴う配当等の実施)第1項及び第3項から第7項まで
  • 第166条([債権執行等] 配当等の実施)第3項
少額訴訟債権執行から移行の決定
  • 第167条の10(転付命令等のための移行)第3項
    前項の規定による決定が効力を生ずる前に、既にされた執行処分について執行異議の申立て又は執行抗告があつたときは、当該決定は、当該執行異議の申立て又は執行抗告についての裁判が確定するまでは、その効力を生じない。
少額訴訟債権執行から移行の決定が効力を生じた場合
  • 第167条の10(転付命令等のための移行)第6項
    第2項の規定による決定が効力を生じたときは、差押処分の申立て又は第1項の申立てがあつた時に第2項に規定する地方裁判所にそれぞれ差押命令の申立て又は転付命令等の申立てがあつたものとみなし、既にされた執行処分その他の行為は債権執行の手続においてされた執行処分その他の行為とみなす。

参照条文

編集

前条:
民事執行法第167条の10
(転付命令等のための移行)
民事執行法
第2章 強制執行

第2節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
第4款 債権及びその他の財産権に対する強制執行

第2目 少額訴訟債権執行
次条:
民事執行法第167条の12
(裁量移行)
このページ「民事執行法第167条の11」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。