民法第1028条
条文
編集(配偶者居住権)
- 第1028条
- 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
- 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
- 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
- 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
- 第903条第4項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。
改正経緯
編集- 2018年改正により新設
- 改正前は、遺留分に関する以下の条項(←明治民法第1131条)が定められていたが、第1042条に趣旨が引き継がれた。
- (遺留分の帰属及びその割合)
- 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
- 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
- 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1
解説
編集- 「配偶者居住権」について定める。
- 「配偶者居住権」とは、被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人が所有する、もしくは被相続人と配偶者が共有する建物に居住していた場合、一定の要件を充たすと終身または一定期間その建物を無償で使用および収益することができる権利で、2018年改正により創設。
- 創設の目的は、高齢化社会が進展して相続開始時点での相続人である配偶者の年齢が従前より相対的に高齢化していることに伴い、配偶者の生活保障(特に居住の確保)の必要性が相対的に高まる一方で、子の生活保障の必要性は相対的に低下していることを鑑み、子の相続の利益を多少害してでも遺族である配偶者の生活保障を企図したことにある。
参照条文
編集参考
編集明治民法において、本条には限定承認者の相続財産の管理に関する以下の規定があった。趣旨は、民法第926条に継承された。
- 限定承認者ハ其固有財産ニ於ケルト同一ノ注意ヲ以テ相続財産ノ管理ヲ継続スルコトヲ要ス
- 第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項、第二項及ヒ第千二十一条第二項、第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
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