法学民事法コンメンタール民法第5編 相続 (コンメンタール民法)

条文

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(使用貸借等の規定の準用)

第1041条
第597条第3項第600条第616条の2第1032条第2項、第1033条及び第1034条の規定は、配偶者短期居住権について準用する。

改正経緯

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2018年改正により新設。本条に定められていた以下の条項(明治民法第1144条由来)は、継承条項なく削除された。

(遺留分権利者に対する価額による弁償)

  1. 受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
  2. 前項の規定は、前条第一項ただし書の場合について準用する。
    • 持分権移転登記等請求(最高裁判決 昭和51年08月30日)
      遺留分権利者が受贈者又は受遺者に対し民法1041条1項の価額弁償を請求する訴訟における贈与又は遺贈の目的物の価額算定の基準時は、右訴訟の事実審口頭弁論終結の時である。

解説

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規準のあてはめ

  1. 配偶者の死亡による配偶者短期居住の終了(民法第597条第3項の準用)
  2. 損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限(民法第600条の準用)
    1. 配偶者短期居住の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び配偶者が支出した費用の償還は、居住建物の所有者(以下、「所有者」)が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
    2. 上記2.1の損害賠償の請求権については、所有者が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
  3. 居住建物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、配偶者短期居住は、これによって終了する。(民法第616条の2の準用)
  4. 配偶者短期居住権は、譲渡することができない。(民法第1032条第2項の準用)
  5. 居住建物の修繕等(民法第1033条の準用)
    1. 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。
    2. 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、所有者は、その修繕をすることができる。
    3. 居住建物が修繕を要するとき(上記5.1により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、所有者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
  6. 居住建物の費用の負担(民法第1034条の準用)
    1. 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
    2. 上記6.1の通常の必要費以外の費用(有益費)について、配偶者又は転得者が不動産について費用を支出したときは、所有者は、その価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、配偶者等が支出した金額又は増価額を償還をしなければならない(第196条の適用)。ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる(第583条第2項の準用)。

参照条文

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  • 民法第1036条 - 配偶者居住権における使用貸借及び賃貸借の規定の準用

判例

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参考

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  1. 明治民法において、本条には財産分離に関する以下の規定があった。趣旨は、民法第941条に継承された。
    1. 相続債権者又ハ受遺者ハ相続開始ノ時ヨリ三个月内ニ相続人ノ財産中ヨリ相続財産ヲ分離センコトヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得其期間満了ノ後ト雖モ相続財産カ相続人ノ固有財産ト混合セサル間亦同シ
    2. 裁判所カ前項ノ請求ニ因リテ財産ノ分離ヲ命シタルトキハ其請求ヲ為シタル者ハ五日内ニ他ノ相続債権者及ヒ受遺者ニ対シ財産分離ノ命令アリタルコト及ヒ一定ノ期間内ニ配当加入ノ申出ヲ為スヘキ旨ヲ公告スルコトヲ要ス但其期間ハ二个月ヲ下ルコトヲ得ス
  2. 明治民法第1144条
    1. 受贈者及ヒ受遺者ハ減殺ヲ受クヘキ限度ニ於テ贈与又ハ遺贈ノ目的ノ価額ヲ遺留分権利者ニ弁償シテ返還ノ義務ヲ免ルルコトヲ得
    2. 前項ノ規定ハ前条第一項但書ノ場合ニ之ヲ準用ス

前条:
民法第1040条
(居住建物の返還等)
民法
第5編 相続
第8章 配偶者の居住の権利
次条:
民法第1042条
(遺留分の帰属及びその割合)
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