法学民事法コンメンタール民法第5編 相続 (コンメンタール民法)民法第993条

条文 編集

(遺贈義務者による費用の償還請求)

第993条
  1. 第299条の規定は、遺贈義務者が遺言者の死亡後に遺贈の目的物について費用を支出した場合について準用する。
  2. 果実を収取するために支出した通常の必要費は、果実の価値を超えない限度で、その償還を請求することができる。

解説 編集

  1. 第299条準用のあてはめ。
    1. 遺贈義務者(第987条参照)は、遺贈の目的物について必要費を支出したときは、受遺者にその償還をさせることができる。
    2. 遺贈義務者は、遺贈の目的物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、受遺者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、裁判所は、受遺者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
  2. 果実を収取するために支出した通常の必要費(例.遺贈の目的物が土地で、それが賃貸されていたとき、取立てに要した費用)は、果実の価値を超えない限度で、その償還を請求することができる。

参照条文 編集

  • 民法第299条(留置権者による費用の償還請求)
  • 明治民法第1095条
    1. 遺贈義務者カ遺言者ノ死亡後遺贈ノ目的物ニ付キ費用ヲ出タシタルトキハ第二百九十九条ノ規定ヲ準用ス
    2. 果実ヲ収取スル為メニ出タシタル通常ノ必要費ハ果実ノ価格ヲ超エサル限度ニ於テ其償還ヲ請求スルコトヲ得

参考 編集

明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、民法第883条から民法第886条までに各々継承された。

第九百六十五条乃至第九百六十八条ノ規定ハ遺産相続ニ之ヲ準用ス

前条:
民法第992条
(受遺者による果実の取得)
民法
第5編 相続

第7章 遺言

第3節 遺言の効力
次条:
民法第994条
(受遺者の死亡による遺贈の失効)


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