民法第179条
条文
編集(混同)
- 第179条
解説
編集- 本条は、たとえば、Aの所有地にBが地上権をもっていたとする。BがAからこの土地を譲り受けた場合、もはや、自分の土地に地上権をもっている必要はないので(所有権は全面支配権であり、この中に地上権の機能も含まれている)、所有権の取得と同時にBの地上権は消滅する。これを物権の混同による消滅という。
- また、3が規定するように、占有権は混同の規定が適用されない。占有という事実状態を保護することを目的とする権利だからである。
- 同じ物について成り立っている所有権とその他の物権が、同じ人のものになったときは、その物権は消滅する。しかし、その物が第三者の権利の目的となっているとき、またはその物権が第三者の権利の目的となっているときは、その物権は消滅しない。
- 所有権以外の物権とこの物権を目的とする他の権利とが同じ人のものになったときは、その権利は消滅する。この場合、1と同じように、その物権が第三者の権利の目的となっているときは、その権利は消滅しない。
- 1と2の規定は、占有権には適用されない。
参照条文
編集判例
編集- 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和46年10月14日)民法第520条、民法第601条、民法第605条、旧民訴法643条1項、3項、旧民訴法658条
- 競売期日の公告に記載されなかつた賃借権とその対抗力
- 建物保護に関する法律第1条による対抗要件を具備した土地の賃借権は、競売期日の公告に記載されなかつたとしても、その対抗力が消滅するものではない。
- 執行裁判所の取調に対して申出のなかつた賃借権とその効力
- 執行裁判所の取調に対して土地の賃借権者が賃借権の申出をしなかつたとしても、その賃借権の効力に影響を及ぼすものではない。
- 土地の所有権と賃借権とが混同しても賃借権が消滅しない場合
- 特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備したのちに右土地に抵当権が設定されていたときは、民法179条第1項但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきであり、このことは、賃借権の対抗要件が建物保護に関する法律第1条によるものであるときでも同様である。
- 競売期日の公告に記載されなかつた賃借権とその対抗力
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