法学民事法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

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条文

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賃貸借

第601条
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

改正経緯

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2017年改正にて、上記下線部を追加。

解説

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参照条文

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第7節 賃貸借
第1款 総則
第2款 賃貸借の効力
  • 第605条(不動産賃貸借の対抗力)
  • 第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)
  • 第605条の3(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
  • 第605条の4(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
  • 第606条(賃貸人による修繕等)
  • 第607条(賃借人の意思に反する保存行為)
  • 第607条の2(賃借人による修繕)
  • 第608条(賃借人による費用の償還請求)
  • 第609条(減収による賃料の減額請求)
  • 第610条(減収による解除)
  • 第611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
  • 第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
  • 第613条(転貸の効果)
  • 第614条(賃料の支払時期)
  • 第615条(賃借人の通知義務)
  • 第616条(賃借人による使用及び収益)
  • 第616条の2(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)
第3款 賃貸借の終了
  • 第617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
  • 第618条(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
  • 第619条(賃貸借の更新の推定等)
  • 第620条(賃貸借の解除の効力)
  • 第621条(賃借人の原状回復義務)
  • 第622条(使用貸借の規定の準用)
第4款 敷金(第622条の2)

判例

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  1. 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和28年12月18日)
    対世的効力ある賃借権の妨害排除請求権
    第三者に対抗できる借地権を有する者は、その土地に建物を建ててこれを使用する者に対し直接その建物の収去、土地の明渡を請求する妨害排除請求権を行使することができる。
  2. 借地権確認請求(最高裁判決 昭和30年04月05日)
    対抗力のある賃借権と第三者に対する建物収去土地明渡請求の有無
    第三者に対抗できる賃借権を有する者は、その土地に建物を有する第三者に対し、建物の収去、土地の明渡を請求することができる。
  3. 家屋明渡並びに損害賠償請求(最高裁判決 昭和35年06月23日)民法第613条
    賃貸人の地位は賃貸物の譲渡に伴い当然に移動するか。
    賃貸物の所有権が当初の賃貸人から順次移転し現在の現所有権者に帰した場合、当初の賃貸人と賃借人間の賃貸借は借家法上、現所有者に承継されたものと解すべきであるから現所有者は賃借人に本件家屋の使用収益をさせる義務を負う。
    • 本判例の趣旨は不動産に関しては2017年改正で新設された第605条の2に制定された。
  4. 家屋明渡請求(最高裁判決 昭和37年12月25日)民法第896条
    家屋賃借人の事実上の養子として待遇されていた者が賃借人の死後において家屋に居住できるとされた事例。
    家屋賃借人の事実上の養子として待遇されていた者が賃借人の死後も引き続き家屋に居住する場合、賃借人の相続人らにおいて養子を遺産の事実上の承継者と認め、祖先の祭祀も同人に行わせる等(当審判決理由参照)の事情があるときは、その者は、家屋の居住につき、相続人らの賃借権を援用して賃貸人に対抗することができる。
  5. 建物退去土地明渡請求(最高裁判決 昭和38年02月21日)民法第454条
    土地賃貸借の合意解除は地上建物の賃借人に対抗できるか。
    土地賃借人と賃借人との間において土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できない。
  6. 借地権確認等請求(最高裁判決 昭和43年10月08日)民法第163条
    土地賃借権の時効取得
    土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権を時効により取得することができる。
  7. 損害賠償請求(最高裁判決 昭和46年04月23日)民法第466条
    賃貸土地の所有者がその所有権とともにする賃貸人たる地位の譲渡と賃借人の承諾の要否
    賃貸借の目的となつている土地の所有者が、その所有権とともに賃貸人たる地位を他に譲渡する場合には、賃貸人の義務の移転を伴うからといつて、特段の事情のないかぎり、賃借人の承諾を必要としない。
    • 本判例の趣旨は不動産に関しては2017年改正で新設された第605条の2に制定された。
  8. 敷金返還請求(最高裁判決 昭和48年02月02日)
    1. 敷金の被担保債権の範囲および敷金返還請求権の発生時期
      家屋賃貸借における敷金は、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものであり、敷金返還請求権は、賃貸借終了後家屋明渡完了の時においてそれまでに生じた右被担保債権を控除しなお残額がある場合に、その残額につき具体的に発生するものと解すべきである。
    2. 家屋の賃貸借終了後におけるその所有権の移転と敷金の承継の成否
      家屋の賃貸借終了後明渡前にその所有権が他に移転された場合には、敷金に関する権利義務の関係は、旧所有者と新所有者との合意のみによつては、新所有者に承継されない。
    3. 賃貸借終了後家屋明渡前における敷金返還請求権と転付命令
      家屋の賃貸借終了後であつても、その明渡前においては、敷金返還請求権を転付命令の対象とすることはできない。
  9. 建物明渡請求(最高裁判決 昭和50年04月25日)民法第559条民法第576条
    賃借物につき第三者から明渡を求められた賃借人の賃料支払拒絶権
    土地又は建物の賃借人は、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡を請求することができる第三者からその明渡を求められた場合には、それ以後、賃料の支払を拒絶することができる。
  10. 賃借権設定仮登記抹消登記手続請求(最高裁判決 昭和52年02月17日) 民法第369条民法第395条
    競売手続が完結した場合と抵当権と同時に設定された抵当権者自身を権利者とする賃借権の帰すう
    抵当不動産につき、抵当権者自身を権利者とする、賃借権又は抵当債務の不履行を停止条件とする条件付賃借権が設定され、その登記又は仮登記が抵当権設定登記と順位を前後して経由された場合において、競売申立までに対抗要件を具備した短期賃借権者が現われないまま、競落によつて第三者が当該不動産の所有権を取得したときには、特段の事情のない限り、抵当権者の賃借権は、それが短期賃借権であつても消滅する。
  11. 建物賃料等請求本訴、保証金返還請求反訴(最高裁判決 平成9年02月25日) 民法第612条
    賃借人の債務不履行による賃貸借の解除と賃貸人の承諾のある転貸借の帰すう
    賃貸借が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する。
  12. 土地明渡請求事件(最高裁判決 平成16年07月13日)農地法第3条,民法第163条
    農地の賃借権の時効取得と農地法3条の適用の有無
    時効による農地の賃借権の取得については,農地法3条の規定の適用はない。
  13. 預託金返還請求事件(最高裁判決 平成17年09月08日)民法第88条2項,民法第89条2項,民法第427条民法第896条民法第898条民法第899条民法第900条民法第907条民法第909条
    共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力
    相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。

前条:
民法第600条
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
民法
第3編 債権

第2章 契約

第7節 賃貸借
次条:
民法第602条
(短期賃貸借)
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