民法第900条
条文
編集(法定相続分)
- 第900条
- 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
- 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
- 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
- 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
- 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
改正経緯
編集解説
編集- 法定相続分についての規定である。第890条による相続人としての配偶者のその他相続人に対する優越と同順位における均分原則(明治民法第1004条を継承)を定める。死亡時に配偶者がない場合は、上位順位において総額が同順位における相続人に相続される。表にすると以下の通りとなる。
相続順位 | 血縁相続人 | 血縁相続人の相続分 | 配偶者の相続分 |
---|---|---|---|
第一位 | 子 | ||
第二位 | 直系尊属 | ||
第三位 | 兄弟姉妹 |
- 第4項但書は、兄弟姉妹の相続人である場合で同位に複数の相続人かいる場合、被相続人と両親とも同じ(養子縁組によるものを含む)兄弟姉妹と父または母が違う兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の間では、相続分について、後者は前者の1/2であることを定めたものである。
- (適用例)
- 甲男と乙女は夫婦であり、二人の間に子A,B,Cがいる。また、甲男は再婚で前妻との間に子Dがいる。Dは乙女と養子縁組をしていない。
- 甲男と乙女が亡くなった後、Aが亡くなった。Aには配偶者も子もおらず、遺言もなかった。従って、相続人は兄弟であるB,C,Dのみとなる。
- この場合の相続分は、B,Cに対して半血兄弟であるDは1/2となる。従って、B,C,Dは2:2:1の割合で相続することとなる。
- (適用例)
関連条文
編集判例
編集- 非嫡出子法定相続差別事件(最高裁判決 平成7年7月5日 旧判例)日本国憲法第14条
- 民法900条4号ただし書前段と憲法14条1項
- 民法900条4号ただし書前段は憲法14条1項に違反しない。
- 預託金返還請求事件(最高裁判決 平成17年9月8日)- 民法第88条2項,民法第89条2項,民法第427条,民法第601条,民法第896条,民法第898条,民法第899条,民法第907条,民法第909条
- 共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力
- 相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。
- 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件(最高裁判決 平成25年9月4日)日本国憲法第14条
- 民法900条4号ただし書前段の規定と憲法14条1項
- 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。
- 民法900条4号ただし書前段の規定を違憲とする最高裁判所の判断が他の相続における上記規定を前提とした法律関係に及ぼす影響
- 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない。
- 民法900条4号ただし書前段の規定と憲法14条1項
参考
編集明治民法において、本条には後見に関する以下の規定があったが、民法第838条に継承された。
- 後見ハ左ノ場合ニ於テ開始ス
- 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者ナキトキ又ハ親権ヲ行フ者カ管理権ヲ有セサルトキ
- 禁治産ノ宣告アリタルトキ
注釈
編集
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