法学民事法民法コンメンタール民法第2編 物権 (コンメンタール民法)

条文編集

共同抵当における代価の配当)

第392条
  1. 債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときはその各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する
  2. 債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。

解説編集

共同抵当の場合に、抵当権の実行順序によって、次順位の抵当権者に不測の損害を及ぼさないよう同時配当の場合(1項)と異時配当の場合(2項)ように規定が定められている。

参照条文編集

判例編集

  • 債権一部不存在確認請求(最高裁判決 昭和44年07月03日)民法第504条
    先順位共同抵当権者が抵当権の一部を放棄した場合における次順位抵当権者との優劣
    甲乙不動産の先順位共同抵当権者が、甲不動産には次順位の抵当権が設定されているのに、乙不動産の抵当権を放棄し、甲不動産の抵当権を実行した場合であつても、乙不動産が物上保証人の所有であるときは、先順位抵当権者は、甲不動産の代価から自己の債権の全額について満足を受けることができる。
  • 配当異議(最高裁判決 昭和53年07月04日)民法第177条民法第304条1項,民法第351条民法第372条
    債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における物上保証人と後順位低当権者との優劣
    債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権から優先して弁済を受けることができる
    債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における後順位抵当権者の優先弁済権と登記又は差押の要否
    債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権からの優先弁済権を主張するについて登記又は差押を必要としない
  • 配当異議(最高裁判決  昭和60年05月23日) 民法第304条民法第351条民法第372条民法第500条民法第501条民法第502条1項
    共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産に債権者を異にする後順位抵当権が設定され乙不動産が先に競売された場合に甲不動産から弁済を受けるときにおける甲不動産の後順位抵当権者と乙不動産の後順位抵当権者の優劣
    共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産にそれぞれ債権者を異にする後順位抵当権が設定されている場合において、乙不動産が先に競売されて一番抵当権者が弁済を受けたときは、乙不動産の後順位抵当権者は、物上保証人に移転した甲不動産に対する一番抵当権から甲不動産の後順位抵当権者に優先して弁済を受けることができる。
    物上保証人がその所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で代位権不行使の特約をした場合と物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者の優先弁済を受ける権利
    物上保証人が、その所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で、債権者の同意がない限り弁済等により取得する権利を行使しない旨の特約をしても、物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者は、物上保証人が弁済等により代位取得する抵当権から優先弁済を受ける権利を失わない。
    債権の一部につき代位弁済がされた場合の競落代金の配当についての債権者と代位弁済者との優劣
    債権の一部につき代位弁済がされた場合、右債権を被担保債権とする抵当権の実行による競落代金の配当については、代位弁済者は債権者に劣後する。
  • 不当利得返還(最高裁判決 平成4年11月06日)民法第500条民法第501条
    共同抵当権の目的不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合と後順位抵当権者の代位
    共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、甲不動産の後順位抵当権者は、民法392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができる。
  • 配当異議事件(最高裁判決  平成14年10月22日)
    共同抵当の目的となった数個の不動産の代価の同時配当に当たり1個の不動産上にその共同抵当に係る抵当権と同順位の抵当権が存する場合の配当額の計算方法
    共同抵当の目的となった数個の不動産の代価を同時に配当すべき場合に,1個の不動産上にその共同抵当に係る抵当権と同順位の抵当権が存するときは,まず,当該1個の不動産の価額を同順位の各抵当権の被担保債権額の割合に従って案分し,次に,共同抵当権者への案分額及びその余の不動産の価額に準じて共同抵当の被担保債権の負担を分けるべきである。

前条:
民法第391条
(抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求)
民法
第2編 物権

第10章 抵当権

第2節 抵当権の効力
次条:
民法第393条
(共同抵当における代位の付記登記)


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