民法第791条
条文
編集(子の氏の変更)
- 第791条
解説
編集- 子の氏の変更についての規定である。
- 氏の変更は、一定の身分関係の変動により当然に発生するものであるが、そういった身分関係の変動を前提とせずに、氏を変更することができる場合の要件をこの規定は定めている。
- 従前の氏(氏の変更が発生する以前に称していた氏)への変更を復氏と呼ぶ。
- (適用例)
- 第1項が想定する典型例
- 未成年の子:○川●子のある夫婦(夫:○川△男、妻C:○川▲子(旧姓:◇山))が離婚(多くの場合、夫が戸籍の筆頭者、以下それを前提とする)。この場合、妻▲子のみが夫△男の戸籍から除籍され、新たに戸籍を構成するか、親の戸籍に属することとなり、▲子は◇山に復氏する[1]。
- ここで、●子の親権が母親▲子に帰属したものとする。しかし、この事実だけでは、●子は依然として、父親△男の戸籍に属し、法律上は父の氏○川を称することとなる。
- そこで、母親である▲子(この場合、本条第3項により●子の法定代理人として行動している)は、子供の住所地を管轄している家庭裁判所に「子の氏の変更許可申請書」に離婚後の自分の戸籍謄本と、元の夫△男の戸籍謄本(●子の親権者の記載がある)を証拠として添えて提出、家庭裁判所より、本条第1項に基づく氏の変更の審判を得る。
- 家庭裁判所の許可審判書の謄本と子供の入籍届けを市区町村役場に提出し、●子は◇山●子となる。
- 第2項が想定する典型例
関連条文
編集参考文献
編集- 『民法(5)親族・相続(第3版)』有斐閣新書(1989年、有斐閣)138頁-140頁(川田昇執筆部分)
- 泉久雄『親族法』(1997年、有斐閣)33頁-37頁
参考
編集明治民法において、本条には妻が未成年時の取り扱いに関する以下の規定があったが継承なく廃止された。
- 妻カ未成年者ナルトキハ成年ノ夫ハ其後見人ノ職務ヲ行フ
脚注
編集- ^ なお、復氏を希望しない場合(婚氏続称)は、第767条第2項の規定により離婚届と同時に「婚姻していた時の氏を名のりたい」旨の届出(戸籍法第77条の2)をすれば、離婚後も引き続いて、婚姻時の氏を名乗り続けられる。
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