取締役
編集取締役総論
編集取締役の資格
編集代表取締役
編集業務執行取締役
編集定義
編集業務執行取締役等
編集非業務執行取締役等
編集- 業務執行取締役等であるものを除く取締役、会計参与、監査役又は会計監査人をあわせて「非業務執行取締役等」という(会社法第427条第1項)。
- 業務執行取締役等と対比して、株主に対する責任を負う局面が異なる(会社法第427条)ため、区別してカテゴライズされる。
社外取締役
編集目的
編集- 株式会社の業務執行から離れ、株主の立場に立って経営を監視することを期待する(経営と執行の分離)。
定義(資格)
編集株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう(法第2条)。
- 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
- その就任の前10年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
- 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
- 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。) - 個人で親会社同等の会社支配をしている場合(第2条第4号の2-ロ)
- 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
- 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
会社の義務等
編集- 有価証券報告書を提出する公開会社で大会社である監査役設置会社(いわゆる上場会社を想定)は、社外取締役を選任する義務がある(法第327条の2)。この義務を怠ると100万円以下の過料に処される(法第976条第19の2号)。
- 監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、3人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならない(法第331条)。この義務を怠ると100万円以下の過料に処される(法第976条第19の2号)。
- 指名委員会、監査委員会又は報酬委員会を設置する場合、各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならない(法第400条第3項)。
- 取締役が社外取締役であることは登記事項である(法第911条第3項第21〜23号)。
権限・機能等
編集- 会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき、その他取締役が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、会社は社外取締役にそれらの事項の執行を委託することができる(法第348条の2)。
取締役会
編集- 株主として取締役に経営を委託する際に、複数の取締役を選出することで相互の牽制が期待でき、また、それら複数の取締役による会議体を組織することで、より慎重な経営及び代表権を有する者(代表取締役)へ掣肘が期待できる。取締役会はこのような目的で取締役の合議体として組織される。
- また、会社組織が高度に複雑化し以下の形態をとる場合、、取締役会は必須の存在となる(第327条第2項)。
- 取締役会の設置は、定款に定めることにより法的に有効な存在となり(第326条第2項)、登記される(第911条第3項第15号)。取締役会を設置している会社は、取締役会設置会社とよばれる。
取締役会の権限
編集詳細は「会社法第362条」を参照
- 取締役会の職務権限
- 業務執行の決定
- 個々の取締役の職務の執行の監督
- 代表取締役の選定及び解職
- 取締役会が専決し、取締役(代表取締役)に委任することができない事項
- 重要な財産の処分及び譲受け
- 多額の借財
- 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
- 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
- 社債募集の総額、その他社債募集に関する事項
- 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令(会社法施行規則第183条)で定める事項
- 内部統制システムの整備
- 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令(会社法施行規則第100条)で定める体制の整備
- 役員等の株式会社に対する損害賠償責任の免除
- その他の重要な業務執行の決定
- 株主総会の権限とされるものから委譲された事項
株主総会権限の委譲
編集- 取締役会設置会社においては、法律又は定款の定めにより以下に例示する株主総会の権限の一部が取締役会に委譲される。
- 種類株式の発行(第108条)
- 譲渡制限株式の譲渡承認(第139条)
- 譲渡制限株式の買取り人の指定(第140条)
- 自己株式の子会社からの譲受(第163条)
- 自己株式の取得(第165条)
- 取得条項付株式の取得(第168条・第169条)
- 株式の分割(第183条)
- 株式無償割当てに関する事項の決定(第186条)
- 授権資本内における株式募集の決定(第200条)
- 募集株式の割当て(第204条・第205条)
- 授権資本内における新株予約権募集の決定(第239条)
- 募集新株予約権の割当て(第243条・第244条)
- 譲渡制限付き新株予約権の譲渡承認(第265条)
- 自己の新株予約権の譲受(第273条・第274条)
- 新株予約権無償割当てに関する事項の決定(第278条)
- 補償契約及び役員等のために締結される保険契約の締結の決定(第430条の2・第430条の3)