料理本/蒸し物
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蒸し物(むしもの)あるいは蒸し料理(むしりょうり)は、蒸気を使って加熱した料理のことです。茹で物のように湯に水溶性の栄養素が溶け出さないため、栄養をしっかりと保つことができ、また油を使わないため低カロリーでヘルシーな調理法として人気があります。
蒸し物 | |
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調理法 | |
蒸し物 | |
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特徴
編集蒸し料理の最大の特徴は、蒸気によって食材を湿潤な状態で加熱することができる点です。これにより、食材が乾燥せず、栄養素が流出しないため、調理後もふっくらとした食感を保ちます。温度が100℃以上に上がらないため、栄養を損なわず、形も崩れにくいのが特徴です。
しかし、調理中に味付けができないため、あらかじめ食材に下味をつけておくか、調理後にタレやソースをかけて食べるのが一般的です。また、蒸し器の温度が安定してから食材を入れないと、熱の入り具合にばらつきが出ることがあります。
一般に鶏肉や魚介類などの淡白な味わいのものが向いており、生臭いものや臭みの強い肉、アクの強い野菜類には向かないとされています。
蒸し方
編集蒸籠を使った蒸し方
編集蒸し料理には蒸籠(せいろ)がよく使われます。蒸し器としては、蒸籠のほかに鍋型の蒸し器もあります。蒸し方は以下の通りです:
- 蒸し湯を準備する:鍋に水を入れて沸騰させ、蒸し湯を作ります。
- 蒸籠をセットする:沸騰した鍋の上に蒸籠を置き、蓋をします。
- 蒸す:湯気を絶えず充満させるために、水を常に加熱し続けます。蒸籠の蓋は竹や木でできており、湯気が抜けやすいため、食材がびしょびしょになることを防ぎます。
蒸籠がない場合の蒸し方
編集蒸籠がない場合、大きめの鍋に少量の水を張り、高い五徳や茶碗を台として使い、その上に皿や網を乗せて蓋をし、加熱します。この方法は短時間で蒸すことが可能なため、中華料理の蒸し魚や蒸し蟹にもよく使われます。
電子レンジでの蒸し方
編集電子レンジを使って蒸すことも可能です。器に蓋をしたりラップをかけて加熱することで、食材の水分を利用して蒸すことができます。専用の容器やスチームオーブンも市販されています。
蒸し料理の例
編集日本料理
編集- 茶碗蒸し:茶碗にとき卵、だし汁、鶏肉、エビ、銀杏、三つ葉などを入れて蒸す料理。
- 酒蒸し:鯛やアサリなどの白身魚に日本酒を振り掛けて蒸す料理。
- 蕪蒸し:おろしたカブを魚にかぶせて蒸す料理。
- 淡雪蒸し:メレンゲを魚にかけて蒸す料理。
中華料理
編集- 蒸し魚:ハタ類、ケツギョ、クロダイなどを蒸した料理。
- 蒸し蟹:上海蟹などを蒸した料理。
- 粉蒸肉:豚肉に米粉をまぶして蒸す料理。
- 蒸水蛋:茶碗蒸しに似た卵料理。
- 包子(中華まん):肉や野菜を包んだパンを蒸した料理。
蒸し料理は、素材の風味や栄養を最大限に引き出す調理法であり、さまざまな食材や料理に応用することができます。