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条文 編集

【国民の生存権、国の社会保障的義務】

第25条
  1. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
  2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

解説 編集

 
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参照条文 編集

判例 編集

  1. 食糧管理法違反 最高裁判決 昭和23年9月29日)
    食糧管理法の合憲性と憲法第25條第1項
    憲法第25條第1項は、すべての國民が健康で文化的な最低限度の生活を營み得るよう國政を運營すべきことを國家の責務として宣言したものである。すなわち國民は、國民一般に對して概括的にかかる責務を負擔しこれを國政上の任務としたのであるけれども、個々の國民に對して具體的にかかる義務を有するものではない。されば、上告人が、右憲法の規定から直接に現實的な生活權が保障せられ、不足食糧の購入運搬は生活權の行使であるから、これを違法なりとする食糧管理法の規定は憲法違反であると論ずるのは、同條の誤解に基く論旨であつて採用することを得ない。同法は、國民全般の福祉のため、能う限りその生活條件を安定せしめるための法律であつて、まさに憲法第25條の趣旨に適合する立法であると言わなければならない。されば、同法を捉えて違憲無効であるとすると論旨は、この點においても誤りであることが明らかである。
  2. 損害賠償等(堀木訴訟 最高裁判決 昭和57年7月7日 民集36巻7号1235頁)憲法13条憲法14条、児童扶養手当法(昭和48年法律第93号による改正前のもの)4条3項3号
    児童扶養手当法4条3項3号と憲法25条
    児童扶養手当法4条3項3号は憲法25条に違反しない。
    • 憲法25条1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定しているが、この規定が、いわゆる福祉国家の理念に基づき、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営みうるよう国政を運営すべきことを国の責務として宣言したものであること、また、同条二項は「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定しているが、この規定が、同じく福祉国家の理念に基づき、社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきことを国の責務として宣言したものであること、そして、同条一項は、国が個々の国民に対して具体的・現実的に右のような義務を有することを規定したものではなく、同条二項によつて国の責務であるとされている社会的立法及び社会的施設の創造拡充により個々の国民の具体的・現実的な生活権が設定充実されてゆくものであると解すべき。
    • 憲法25条の規定は、国権の作用に対し、一定の目的を設定しその実現のための積極的な発動を期待するという性質のものである。しかも、右規定にいう「健康で文化的な最低限度の生活」なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であつて、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、右規定を現実の立法として具体化するに当たつては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである。したがつて、憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄である。
    • 社会保障給付の全般的公平を図るため公的年金相互間における併給調整を行うかどうかは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と見るべきである。また、この種の立法における給付額の決定も、立法政策上の裁量事項であり、それが低額であるからといつて当然に憲法25条違反に結びつくものということはできない。

前条:
日本国憲法第24条
【家族生活における個人の尊厳、両性の平等】
日本国憲法
第3章 国民の権利及び義務
次条:
日本国憲法第26条
【教育を受ける権利、教育の義務】
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