法学民事法コンメンタール民法第4編 親族 (コンメンタール民法)

条文

編集

(監護及び教育の権利義務)

第820条
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

改正経緯

編集

2011年改正において、「子の利益のために」を追加。

解説

編集
 
Wikipedia
ウィキペディア親権の記事があります。

親権者による監護及び教育の権利義務について定めている。戦後の民法改正においても、明治民法と同趣旨の規定(明治民法第879条)が受け継がれ、2011年(平成23年)改正によって「子の利益のために」の部分が追加され、監護及び教育の目的が明確化された。

参照条文

編集
  • 民法第857条(未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務)
  • 刑法第179条(監護者わいせつ及び監護者性交等)

判例

編集
  1. 子の引渡請求(最高裁判決 昭和35年03月15日)
    1. 幼児の引渡を求める訴訟においてその幼児が自由意思に基いて相手方の許に居住しているとはいえない事例
      幼児の引渡を求める訴訟において、その幼児が3歳に満たない頃からひき続き相手方のもとで養育されているというだけでは、右幼児は自由意思に基いて同所に居住しているとはいえない。
    2. 幼児引渡の請求を認容する判決と日本国憲法第22条の居住移転の自由
      いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第22条所定の居住移転の自由となんら関係がない。
  2. 幼児引渡請求(最高裁判決 昭和38年09月17日)
    幼児引渡の請求を認容する判決と日本国憲法第13条
    いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は日本国憲法第13条となんら関係がない。
  3. 面接交渉の審判に対する原審判変更決定に対する許可抗告事件(最高裁判決 平成12年05月01日),民法第818条3項
    婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に子と同居していない親と子の面接交渉について家庭裁判所が相当な処分を命ずることの可否
    姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に、子と同居していない親と子の面接交渉につき父母の間で協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法第766条を類推適用し、家事審判法第9条1項乙類4号により、右面接交渉について相当な処分を命ずることができる。
    • 家事審判法第9条第1項 家庭裁判所は、次に掲げる事項について審判を行う。
      (現:家事事件手続法第39条 家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第1及び別表第2に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。)
      • 乙類4号
        民法第766条第1項又は第2項(これらの規定を同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護者の指定その他子の監護に関する処分
        現:家事事件手続法別表1条の3の項『子の監護に関する処分』
        民法第766条第2項及び第3項(これらの規定を同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。
  4. 未成年者略取被告事件(最高裁判例 平成17年12月06日)刑法第35条,刑法第224条,民法第820条
    母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例
    母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は, 別居中の共同親権者である父が行ったとしても,監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず,行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では,違法性が阻却されるものではない。

参考

編集

明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、民法第772条に継承された。

  1. 妻カ婚姻中ニ懐胎シタル子ハ夫ノ子ト推定ス
  2. 婚姻成立ノ日ヨリ二百日後又ハ婚姻ノ解消若クハ取消ノ日ヨリ三百日内ニ生レタル子ハ婚姻中ニ懐胎シタルモノト推定ス

前条:
民法第819条
(離婚又は認知の場合の親権者)
民法
第4編 親族

第4章 親権

第2節 親権の効力
次条:
民法第821条
(子の人格の尊重等)
このページ「民法第820条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。