法学民事法民法コンメンタール民法第4編 親族 (コンメンタール民法)

条文

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成年後見人の選任)

第843条
  1. 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
  2. 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。
  3. 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により、又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
  4. 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

改正経緯

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1999年改正前は、以下の条項があったが、禁治産者に関する第840条が削除されたことに伴い、当条項を「後見人」を「未成年後見人」に改正した上で、第842条に繰り上げ、空き番になったところに「成年後見人制度」として新設。

父若しくは母が親権若しくは管理権を辞し、後見人がその任務を辞し、又は父若しくは母が親権を失つたことによつて後見人を選任する必要が生じたときは、その父、母又は後見人は、遅滞なく後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。

解説

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成年後見人の選任についての規定である。

従来の禁治産制度では後見人は一人に限定されていたこと、また禁治産者に配偶者がいる場合には当然に配偶者が後見人となる規定が置かれていたが、1999年(平成11年)改正によって高齢者や障害者の自己決定を尊重する趣旨から成年後見制度が導入され、あわせてこれらの規定も大幅に変更となった。

成年後見人は847条の欠格事由に該当しなければ誰でもなることができ、法人を後見人に選任することもできる。また複数の後見人を選任することも可能なので、法律の専門家、介護・福祉の専門家、親族代表といったようにそれぞれの専門分野に後見人の職務を担当させることもできる。

参照条文

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参考

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明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、民法第797条に継承された。

  1. 養子ト為ルヘキ者カ十五年未満ナルトキハ其家ニ在ル父母之ニ代ハリテ縁組ノ承諾ヲ為スコトヲ得
  2. 継父母又ハ嫡母カ前項ノ承諾ヲ為スニハ親族会ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

前条:
民法第842条
(未成年後見人の数)
民法
第4編 親族

第5章 後見

第2節 後見の機関
次条:
民法第844条
(後見人の辞任)


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