条文 編集

単純承認の効力)

第920条
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

解説 編集

単純承認の効果につき、被相続人の積極財産・消極財産全てを包括継承する旨を定める。本条は、明治民法第1023条を継承する。
限定承認(第924条)や相続放棄(第938条)については、家庭裁判所への申述を要する(家事事件手続法第201条)一方で、単純承認については方式が法定されておらず、次条により、特に同条2号に定める熟慮期間(自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内(第915条))の徒過をもって確定することが大多数である。従って、相続の選択の撤回は認められないとされる(第938条)が、単純承認の選択を宣言する機会はほぼない。ただし、熟慮期間中に遺産分割に着手する行為は単純承認の宣言と見做しうる。
比較法的には、積極財産のみを相続する限定承認の様式が一般的とされるが、例えば、相続財産に事業が含まれる場合、その事業の継続を考慮すると一般的には単純承認せざるを得ない。

関連条文 編集

参考文献 編集

  • 『民法(9)相続(第4版増補版)』(有斐閣双書)(有斐閣、2000年)141頁-168頁(石川利男執筆部分)
  • 『民法Ⅴ(第2版補訂版)』(Sシリーズ)(有斐閣、2000年)150頁-153頁(伊藤昌司執筆部分)

参考 編集

明治民法において、本条には後見人の告知義務等の準用に関する以下の規定があった。趣旨は、民法第856条に継承された。

前三条ノ規定ハ後見人就職ノ後被後見人カ包括財産ヲ取得シタル場合ニ之ヲ準用ス

前条:
民法第919条
(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
民法
第5編 相続

第4章 相続の承認及び放棄

第2節 相続の承認
次条:
民法第921条
(法定単純承認)
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