法学民事法コンメンタール民法第5編 相続

条文

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(遺留分を算定するための財産の価額)

第1043条
  1. 遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。
  2. 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

改正経緯

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2018年改正により、以下の第1029条明治民法1132条由来)に、必要な文言修正を加え移動。

遺留分の算定)
  1. 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
  2. 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。
改正前本条に定められていた、以下の「遺留分の放棄」については第1049条に移動。
  1. 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
  2. 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

解説

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遺留分算定の基礎財産 = (被相続人が相続開始の時において有した財産) + (贈与した財産の価額) - (債務の全額)

参照条文

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判例

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  • 遺留分減殺請求(最高裁判決 昭和51年03月18日)民法第903条民法第904条旧・民法第1044条
    相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合と受益額算定の方法
    相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合には、贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもつて評価すべきである。
  • 遺留分減殺請求に基づく持分権確認並びに持分権移転登記手続(最高裁判決 平成8年11月26日)旧・民法第1031条
    被相続人が相続開始時に債務を有していた場合における遺留分の侵害額の算定
    被相続人が相続開始時に債務を有していた場合における遺留分の侵害額は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額にその贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して遺留分算定の基礎となる財産額を確定し、それに法定の遺留分の割合を乗じるなどして算定した遺留分の額から遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定する。

参考

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  1. 明治民法において、本条には限定承認に関する以下の規定があった。趣旨は、民法第943条に継承された。
    1. 財産分離ノ請求アリタルトキハ裁判所ハ相続財産ノ管理ニ付キ必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得
    2. 裁判所カ管理人ヲ選任シタル場合ニ於テハ第二十七条乃至第二十九条ノ規定ヲ準用ス
  2. 明治民法第1132条
    1. 遺留分ハ被相続人カ相続開始ノ時ニ於テ有セシ財産ノ価額ニ其贈与シタル財産ノ価額ヲ加ヘ其中ヨリ債務ノ全額ヲ控除シテ之ヲ算定ス
    2. 条件附権利又ハ存続期間ノ不確定ナル権利ハ裁判所ニ於テ選定シタル鑑定人ノ評価ニ従ヒ其価格ヲ定ム
    3. 家督相続ノ特権ニ属スル権利ハ遺留分ノ算定ニ関シテハ其価額ヲ算入セス

前条:
民法第1042条
(遺留分の帰属及びその割合)
民法
第5編 相続
第8章 遺留分
次条:
民法第1044条
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