民法第242条
条文
編集- 第242条
- 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
解説
編集不動産の附合物の権利の帰属についての規定である。
関連条文
編集参照
編集判例
編集- 所有権移転登記手続等請求(最高裁判決 昭和31年06月19日)
- 播かれた種から生育した苗の所有権の帰属
- 播かれた種から生育した苗の所有権は、播種が土地使用の権原のない者によつてなされた場合は、土地所有者に属する。
- 家屋明渡請求(最高裁判決 昭和34年02月05日)
- 改造途中の工作物を賃借人が建物として完成させた場合の附合の成否
- 二階建アパートの階下の一画の区分所有権者が、これを賃貸の目的で改造するために取りこわし、柱および基礎工事等を残すだけの工作物とした上で、右工作物を、賃借人の負担で改造する約束で賃貸し、賃借人において約旨に従い建物として完成させた場合には、賃借人の工事により附加された物の附合により、右建物は工作物所有者の所有に帰したものと解すべきである。
- 山林所有権確認等請求(最高裁判決 昭和35年03月01日 )民法第177条
- 地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽された立木の所有権と対抗要件。
- 地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽した立木の所有権を、第三者に対抗するには、公示方法を必要とする。
- 所有権確認請求(最高裁判決 昭和38年10月29日) 建物の区分所有等に関する法律第1条
- 建物の賃借部分の改築により借家人のため区分所有権が成立したとされた事例。
- 二階建木造建物の階下の一部を賃借した者が、判示事情のものに賃貸人の承諾をえて賃借部分をとりこわしその跡に自己の負担で店舗を作つた場合には、右店舗の一部に原家屋の二階が重なつており、既存の二本の通し柱および天井の梁を利用していても、他に特段の事情のないかぎり右店舗部分は従前の賃借人の区分所有権に帰すものと解すべきである。
- 家屋明渡請求(最高裁判決 昭和43年06月13日)
- 建物の附合を否定した判断に違法があるとされた事例
- 建物新築部分の従前の建物への附合の成否については、当該新築部分の構造、利用方法を考察し、右部分が従前の建物に接して築造され、構造上建物としての独立性を欠き、従前の建物と一体となつて利用され取引されるべき状態にあるときは、右部分は従前の建物に附合したものと解すべきであつて、新築部分が従前の建物とその基礎、柱、屋根などの部分において構造的に接合していないことから、ただちに附合の成立を否定することは許されない。
- 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和44年07月25日) 建物の区分所有等に関する法律第1条
- 建物の賃借人が承諾を得て二階部分を増築した場合に区分所有権が成立しないとされた事例
- 建物の賃借人が建物の賃貸人兼所有者の承諾を得て賃借建物である平家の上に二階部分を増築した場合において、右二階部分から外部への出入りが賃借建物内の部屋の中にある梯子段を使用するよりほかないときは、右二階部分につき独立の登記がされていても、右二階部分は、区分所有権の対象たる部分にはあたらない。
- 土砂返還(最高裁判決 昭和57年06月17日)民法第86条2項,民法第206条,民法第247条1項,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)16条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)24条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)35条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)36条
- 損害賠償請求事件(最高裁判決 昭和63年01月18日)民法第86条,民法第294条
- 共有の性質を有しない入会地上の天然の樹木の所有権が土地の所有者に属するとされた事例
- 付近住民の採草放牧や薪炭材採取等に利用されていた入会地が、入会住民全員の同意のもとに、入会権を存続させ入会住民の保育した天然の樹木を売却する際にはその保育に対する報償として売却代金の一部を入会住民に交付することを条件として村に贈与され、右条件の趣旨に沿つて村が制定した条例に従つて、入会住民が造林組合を結成して組合名義で村に対し入会地の天然の樹木の伐採申請をし、これを受けた村が右樹木を売却してその代金の一部を組合に交付してきたなど判示の事実関係のもとにおいては、右入会地上に生育する天然の樹木は、共有の性質を有しない右入会地の所有者である村の所有に属する。
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