刑法第7条
条文
編集(定義)
- 第7条
- この法律において「公務員」とは、国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。
- この法律において「公務所」とは、官公庁その他公務員が職務を行う所をいう。
解説
編集「公務員」「公務所」の刑法における定義規定である。
- 「公務員」が犯罪の主体となるもの
- (※ 刑法第4条(公務員の国外犯)が適用されるもの)
参照条文
編集判例
編集- 偽造公文書行使、公文書偽造、詐欺、収賄(最高裁判決 昭和25年02月28日)
- 刑法第7条にいわゆる公務員の意義
- 刑法第7条にいわゆる公務員は官制職制によつて其職務権限が定まつているものに限らずすべて法令によつて公務に従事する職員を指称するものであつて其法令中には単に行政内部の組織作用を定めた訓令といえども抽象的の通則を規定しているものであれば之を包含するものであることは大審院判例の示すところであつて、今之れを改むべき理由を認めない、(大審院大正5年(れ)第2179号大正5年11月6日刑事2部判決、大正8年(れ)第1808号、大正9年12月10日刑事1部判決)
- 戦災復興院特別建設出張所処務規程第2条にいわゆる雇員と公務員
- 昭和20年11月5日勅令大621号戦災復興院官制第2条に戦災復興院に左の職員を置くと規定し総裁次長、<略>、技師属技師を挙げているのみで雇員を挙げていないことは所論の通りである。しかし昭和23年3月15日戦災復興院訓令第1号戦災復興院特別建設出張所処務規程第2条は所長は戦災復興院総裁の指揮監督を受け所務を掌理するとあり、同第3条には所長は雇員以下の任免を専行することができると規定している点に鑑みるときは、雇員たる身分を有し、建設資村需要者割当証明書を発行することを担当していた被告人は、刑法第7条に所謂公務員であるといわなければならない。論旨は被告人は些末な機械的事務を担当していたもので何等智能的創意を要する事務を担当していないから其担当事務の性質から見ても公務員といえないと主張する。しかし原審の認定した事実によれば被告人の担当事務は先きに説明した通り単純な機械的肉体的の労働ではなく、普通に所謂精神的労働に属する一般事務と見るべきであるから仕事の性質から見て公務員でないということは当を得ない。
- 刑法第7条にいわゆる公務員の意義
- 公務執行妨害(最高裁判決 昭和25年10月20日)第95条
- 市の雇と公務員
- 市長により任命され市統計課で市の統計事務に従事する市雇は、公務員である。
- 刑法上公務員とは、官吏公吏法令により公務に従事する議員委員その他の職員をいうのであるが(刑法第7条)、これを具体的にいえば、国家または公共団体の機関として公務に従事し、その公務従事の関係は任命嘱託選挙等その方法を問わないが、その公務に従事することが法令に根拠を有するものをいうのである。
- 収賄(最高裁判決 昭和30年12月03日)特別調達庁法第14条,特別調著庁法第16条,特別調達庁職制30条(昭和23年7月1日の改正で32条となる)
- 「法令により公務に従事する職員」の意義
- 「法令により公務に従事する職員」とは、公務に従事する職員で、その公務に従事することが法令の根拠にもとづくものを意味し、単純な機械的、肉体的労務に従事するものはこれに含まれないけれども、当該職制等のうえで「職員」と呼ばれている身分をもつかどうかは、あえて問うところではない。
- 特別調達庁の雇員と刑法第7条にいう「公務員」
- 特別調達庁第16条により制定された特別調達庁職制にもとづいて任用され、同庁支局契約部工事課員として占領軍関係工事につき工事請負業者に工事代金の支払をするについて契約稟議書面の起案および支払請求書の内訳書の作成処理等の事務を担当していた雇員は、刑法第7条にいう「公務員」にあたる。
- 「法令により公務に従事する職員」の意義
- 公務執行妨害、傷害(最高裁判決 昭和35年03月01日)
- 郵便集配人と公務員
- 郵便集配人は刑法上の公務員である。
- 本件郵便集配員Aは、右諸規定により公務に従事するものであり、その担当事務の性質は単に郵便物の取集め、配達というごとき単純な肉体的、機械的労働に止まらず、民訴法、郵便法、郵便取扱規程等の諸規定にもとづく精神的労務に属する事務をもあわせ担当しているものとみるべきであるから、仕事の性質からいつて公務員でないというのは当を得ず、従つて、同人がその職務を執行するに当りこれに対して暴行を加えた被告人の原判示所為は、刑法95条の公務執行妨害罪を構成する。
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