条文 編集

(逮捕及び監禁)

第220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の拘禁刑に処する。

改正経緯 編集

2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。

(改正前)懲役
(改正後)拘禁刑

解説 編集

逮捕と監禁の差は場所的移動の自由の侵害態様の差にある。

参照条文 編集

判例 編集

  1. 強姦致傷、不法第監禁(最高裁判決 昭和24年07月12日)
    不法監禁罪と強姦致傷罪とを併合罪として処罰した判決と牽連犯の成否
    不法監禁罪と強姦致傷罪とは、たまたま手段結果の関係にあるが、通常の場合においては、不法監禁罪は通常強姦罪の手段であるとはいえないから、被告人等の犯した不法監禁罪と強姦致傷罪は、牽連犯ではない。從つて右二罪を併合罪として処断した原判決は、法令の適用を誤つたものではない。
  2. 強姦致傷、不法第監禁(最高裁判決 昭和24年12月20日)
    不法監禁罪が成立する一事例
    深夜海上沖合に碇泊中の漁船内に、強姦の被害者である婦女を閉ぢ込めた場合には、当時同女が泳いで岸に着く機会があつたとしても不法監禁罪が成立する。
  3. 監禁(最高裁判決 昭和28年06月17日)刑法第54条1項,刑法第35条,労働組合法第(昭和20年法第律51号)1条,憲法第28条,憲法第32条,旧刑訴法第360条1項
    1. 人を逮捕し、引き続き監禁した場合の擬律
      人を不法に逮捕し引き続き監禁した場合には、刑法第220条第1項の一罪が成立する。
      • 人を、逮捕し監禁したときは、逮捕罪と監禁罪との各別の二罪が成立し、牽連犯又は連続犯となるものではなく、これを包括的に観察して刑法220条1項の単純な一罪が成立するものと解すべきものである。
    2. 監禁罪が成立するために要する脅迫の程度
      脅迫による監禁罪が成立するためには、その脅迫は被害者をして一定の場所から立ち去ることを得しめない程度のものでなければならない。
    3. 監禁の動機目的と監禁罪の成否
      監禁罪は、暴行によると脅迫によるとを問わず、他人を一定の場所の外に出ることができなくした場合に成立し、目的の如何を問わない。
    4. 同時に同一場所に数人を監禁した行為と罪数
      同時に同一場所において別個の人を監禁したときは、一個の行為で被害者の数に応じた数個の監禁の罪名に触れる。
    5. いわゆる人民裁判による判決の履行のために監禁することは適法か
      日本国民は、法律に定めた裁判官以外の裁判を受けることのないことは、憲法に保障されている国民の権利である。本件、労働組合員等大衆を裁判官とする人民裁判において、B、Cが敗訴の判決を受けたのに、これに服しなかつたため退去を許されず、又その判決の履行を、迫られたもので、被告人等に不法監禁罪は成立しないという所論は、法治国の精神に反し、憲法を無視する所論であつて採るを得ない。
  4. 逮捕、監禁、暴行、脅迫、食糧管理法第違反、傷害、銃砲等所持禁止令違反(最高裁判決 昭和28年11月27日)w:憲法第39条,刑訴法第256条2項,刑訴法第256条3項,刑訴法第335条1項,刑訴法第337条1号,刑法第208条,刑法第222条,刑法第54条1項前段,暴力行為等処罰に関する法第律1条1項
    不法監禁中になされた暴行脅迫行為が別罪を構成する事例
    暴行脅迫が不法監禁中になされたものであつても、不法監禁の状態を維持存続させるため、その手段としてなされたものでなく、全く別個の動機、原因からなされたものであるときは、右暴行脅迫の行為は、不法監禁罪に吸収されることなく、別罪を構成する。
  5. 不法第監禁傷害、道路交通法第違反(最高裁決定 昭和38年04月18日)
    不法監禁罪が成立する事例
    婦女を強いて姦淫しようと企て、自己の運転する第二種原動機付自転車荷台に乗車せしめ、1000メートル余り疾走した場合は、不法監禁罪が成立する。
  6. 職業安定法第違反、婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令違反(最高裁決定 昭和33年03月19日)刑訴220条1項
    偽計による監禁罪の成立
    刑法第230条第1項にいう「監禁」は、暴行または脅迫によつてなされる場合だけではなく、偽計によつて被害者の錯誤を利用してなされる場合をも含むものと解すべきである。
  7. みのしろ金目的拐取、拐取者みのしろ金取得等、監禁(最高裁決定 昭和58年09月27日)
    みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が被拐取者を監禁しみのしろ金を要求した場合の罪数関係
    みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が、更に被拐取者を監禁し、その間にみのしろ金を要求した場合には、みのしろ金目的拐取罪とみのしろ金要求罪とは牽連犯の関係に、以上の各罪と監禁罪とは併合罪の関係にある。

前条:
刑法第219条
(遺棄等致死傷)
刑法
第2編 罪
第31章 逮捕及び監禁の罪
次条:
刑法第221条
(逮捕等致死傷)
このページ「刑法第220条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。