民法第644条
条文
編集- 第644条
- 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
解説
編集いわゆる善管注意義務について定めた規定である。
具体的にどのような義務が命じられるかは、法令や契約などによって規定される。
参照条文
編集- 民法第659条(無償受寄者の注意義務)
- 民法第876条の3(保佐監督人)
- マンション標準管理委託契約書第5条(善管注意義務)
- 会社法第825条(会社の財産に関する保全処分)
判例
編集- 取締役の責任追及請求(八幡製鉄事件 最高裁判決 昭和45年06月24日)民法第43条(削除廃止),商法第166条1項1号(現・会社法第27条1号),商法第254条ノ2(現・会社法第331条),商法第254条3項(現・会社法第330条),憲法第3章
- 損害賠償請求(最高裁判決 昭和46年06月10日)手形法第10条,手形法第75条,手形法第77条2項
- 銀行が当座勘定取引契約に基づき手形の印影を照合するにあたつて尽くすべき注意義務の程度
- 銀行が、当座勘定取引契約に基づき、届出の印鑑と手形上の印影とを照合するにあたつては、銀行の照合事務担当者に対して社会通念上一般に期待されている業務上相当の注意をもつて慎重に行なうことを要し、右事務に習熟している銀行員が右のような注意を払つて熟視するならば肉眼で発見しうるような印影の相違が看過されて偽造手形が支払われたときは、その支払による不利益を取引先に帰せしめることは許されない。
- 印影照合についての銀行の注意義務と免責約款の効力
- 銀行が手形の印影と届出印鑑とが符合すると認めて支払をした場合は責任を負わない旨の当座勘定取引契約上の免責約款は、銀行が手形の印影照合にあたつて尽くすべき前項の注意義務を軽減する趣旨のものではない。
- 当座勘定取引契約に基づき手形の支払委託をうけた銀行が振出日欄白地の約束手形を支払つた場合における取引先に対する効力
- 当座勘定取引契約上の支払委託は、特段の事情のないかぎり、振出日欄白地の確定日払の約束手形の支払を含む趣旨とは解されず、銀行が、支払委託の有無を確認するための相当な方法をとることなく、右白地手形の支払をしたときは、その結果を取引先に帰属させることは許されない。
- 銀行が当座勘定取引契約に基づき手形の印影を照合するにあたつて尽くすべき注意義務の程度
- 損害賠償(最高裁判決 昭和53年07月10日)民法第651条,司法第書士法第1条
- 登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受けた司法書士が登記義務者から登記手続に必要な書類の返還を求められた場合における登記権利者に対する委任契約上の義務
- 登記権利者及び登記義務者双方から登記手続の委託を受け、右手続に必要な書類の交付を受けた司法書士は、手続の完了前に登記義務者から右書類の返還を求められても、登記権利者に対する関係では、同人の同意があるなど特段の事情のない限り、その返還を拒むべき委任契約上の義務がある。
- 取締役の責任追及(最高裁判決 平成5年09月09日)商法(昭和56年法第律第74号による改正前のもの)210条(現・会社法第155条),商法第254条3項(現・会社法第330条),商法第266条1項5号(現・会社法第423条),民法第415条
- 会社が同社のすべての発行済み株式を有する乙会社の株式を取得することと商法210条
- 甲会社が同社のすべての発行済み株式を有する乙会社の株式を取得することは、商法210条にいう自己株式の取得に当たる。
- 甲会社が同社のすべての発行済み株式を有する乙会社の株式の売買により損失を被った場合と乙会社に生じる損害
- 甲会社が同社のすべての発行済み株式を有する乙会社の指示により同社の株式を売買して買入価格と売渡価格の差額に相当する損失を被った場合、乙会社の取締役は、特段の事情のない限り、その全額を乙会社に生じた損害として、賠償の責めに任ずる。
- 会社が同社のすべての発行済み株式を有する乙会社の株式を取得することと商法210条
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