作成と維持
編集- 株式会社を設立しようとする者は発起人となり、会社法に従って、その基本的規則である定款を作成し、その記載に従い会社を設立する。設立に当たっては、定款の記載が会社法を充足していることを公証人が認証することを要し(会社法第27条)、会社が実体を備えるまで原則としてこれを変更することはできない。
- また、会社成立後は、会社の経営において、すべての行動の規準となり、これに反するものは基本的に無効であり、これに従わない役員等の行動は忠実義務違反(会社法第355条)等を問われる。
- 定款変更は、会社における重要な事項として、株主総会の決議でのみ行うことができ、特別決議による(会社法第466条、会社法第309条第2項第11号)。
記載内容
編集- 定款には、①会社法上必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項 会社法第27条他)、②定款に定めがなければその効力を生じない事項(相対的記載事項 設立時;会社法第28条、その他会社設立以降に適用されるもの)、③絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項(任意的記載事項)により構成される。ただし、任意的記載事項であっても会社法の規定に違反するものは効力を有しない(会社法第29条)。
- (★:モデル定款該当事項)
絶対的記載事項
編集- 原始定款記載事項
- 通常、4及び5は会社成立後の株主総会における定款変更決議で削除される。
- 会社成立(登記時)において絶対的となる事項
相対的記載事項
編集- 原始定款記載事項
- 変態設立事項以外(会社法第29条)、以下主要なもの。
- 株式に関する事項
- 株式の内容
- 種類株式(会社法第108条第2項)
- 非公開会社における株主平等原則の例外(会社法第109条2項)
- 株主名簿管理人(会社法第123条)
- 相対取引による自己株取得の際に、株主の請求権の規定(会社法第160条第2項及び第3項)を適用しない旨の規定(会社法第164条第2項)
- 取締役会設置会社で、市場取引等により自己株式を取得することを取締役会の決議によって定めること(会社法第165条)
- 単元未満株式についての権利の制限(会社法第189条第2項)
- 取締役会設置会社以外の会社で株式割当ての事項を取締役の決定によって定めることができる旨の定め(会社法第202条)
- 株券を発行する旨の定め(会社法第214条) ★
- 機関に関する事項
- 株主総会決議の定足数等の変更に関する規定(会社法第309条) ★
- 取締役会、監査役等を置くことができる旨(会社法第326条第2項)
- 公開会社でない会社の、取締役が株主でなければならない旨の定め(会社法第331条)
- 取締役・監査役の任期の変更に関する規定(会社法第332条第1項・第2項 会社法第336条第2項・第3項)
- 取締役の任期の伸長、短縮、監査役の任期の伸長・補欠監査役の任期の短縮に関する規定。
- 累積投票制度の排除規定(会社法第342条第1項) ★
- 取締役が、業務を執行しない旨の定め(会社法第348条)
- 代表取締役その他株式会社を代表する者の定め、又は定める方法(会社法第349条第1項、第3項) ★
- 取締役会を招集する取締役の定め(会社法第366条)
- 取締役会の招集通知の期間の短縮に関する規定(会社法第368条第1項)
- 取締役会の定足数・決議要件の加重に関する規定(会社法第369条第1項)
- 取締役会の決議の省略(会社法第370条)
- 非公開会社の、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定め(会社法第398条)
- 役員等の株式会社に対する損害賠償責任の取締役等による免除の定め(会社法第426条)
- 会計監査人との責任限定契約の定め(会社法第427条)
- 計算(会計)に関する事項
- 剰余金の配当等の事項の決定を取締役会に授権する定款の定めがある場合に、株主総会ではその事項の決議を排除する規定(会社法第459条等)
- 解散に関する事項
- 存続期間又は解散の事由(会社法第471条第1号、第2号)
- その他
- 株式に関する事項
任意的記載事項
編集定款の記載事項のうち、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項で会社法の規定に違反しないもの(会社法第29条)、以下例示。