労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第44条
条文
編集(労働基準法の適用に関する特例)
- 第44条
- 労働基準法第9条に規定する事業(以下この節において単に「事業」という。)の事業主(以下この条において単に「事業主」という。)に雇用され、他の事業主の事業における派遣就業のために当該事業に派遣されている同条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業に使用される者及び家事使用人を除く。)であって、当該他の事業主(以下この条において「派遣先の事業主」という。)に雇用されていないもの(以下この節において「派遣中の労働者」という。)の派遣就業に関しては、当該派遣中の労働者が派遣されている事業(以下この節において「派遣先の事業」という。)もまた、派遣中の労働者を使用する事業とみなして、同法第3条、第5条及び第69条の規定(これらの規定に係る罰則の規定を含む。)を適用する。
- 派遣中の労働者の派遣就業に関しては、派遣先の事業のみを、派遣中の労働者を使用する事業とみなして、労働基準法第7条、第32条、第32条の2第1項、第32条の3、第32条の4第1項から第3項まで、第33条から第35条まで、第36条第1項、第40条、第41条、第60条から第63条まで、第64条の2、第64条の3及び第66条から第68条までの規定並びに当該規定に基づいて発する命令の規定(これらの規定に係る罰則の規定を含む。)を適用する。この場合において、同法第32条の2第1項中「当該事業場に」とあるのは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第44条第3項に規定する派遣元の使用者(以下単に「派遣元の使用者」という。)が、当該派遣元の事業(同項に規定する派遣元の事業をいう。以下同じ。)の事業場に」と、同法第32条の3中「就業規則その他これに準ずるものにより、」とあるのは「派遣元の使用者が就業規則その他これに準ずるものにより」と、「とした労働者」とあるのは「とした労働者であって、当該労働者に係る労働者派遣法第26条第1項に規定する労働者派遣契約に基づきこの条の規定による労働時間により労働させることができるもの」と、「当該事業場の」とあるのは「派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場の」と、同法第32条の4第1項及び第2項中「当該事業場に」とあるのは「派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場に」と、同法第36条第1項中「当該事業場に」とあるのは「派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場に」と、「これを行政官庁に」とあるのは「及びこれを行政官庁に」とする。
- 労働者派遣をする事業主の事業(以下この節において「派遣元の事業」という。)の労働基準法第10条に規定する使用者(以下この条において「派遣元の使用者」という。)は、労働者派遣をする場合であって、前項の規定により当該労働者派遣の役務の提供を受ける事業主の事業の同条に規定する使用者とみなされることとなる者が当該労働者派遣に係る労働者派遣契約に定める派遣就業の条件に従って当該労働者派遣に係る派遣労働者を労働させたならば、同項の規定により適用される同法第32条、第34条、第35条、第36条第1項ただし書、第40条、第61条から第63条まで、第64条の2若しくは第64条の3の規定又はこれらの規定に基づいて発する命令の規定(次項において「労働基準法令の規定」という。)に抵触することとなるときにおいては、当該労働者派遣をしてはならない。
- 派遣元の使用者が前項の規定に違反したとき(当該労働者派遣に係る派遣中の労働者に関し第2項の規定により当該派遣先の事業の労働基準法第10条に規定する使用者とみなされる者において当該労働基準法令の規定に抵触することとなったときに限る。)は、当該派遣元の使用者は当該労働基準法令の規定に違反したものとみなして、同法第118条、第119条及び第121条の規定を適用する。
- 前各項の規定による労働基準法の特例については、同法第38条の2第2項中「当該事業場」とあるのは「当該事業場(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第23条の2に規定する派遣就業にあっては、労働者派遣法第44条第3項に規定する派遣元の事業の事業場)」と、同法第38条の3第1項中「就かせたとき」とあるのは「就かせたとき(派遣先の使用者(労働者派遣法第44条第1項又は第2項の規定により同条第1項に規定する派遣先の事業の第10条に規定する使用者とみなされる者をいう。以下同じ。)が就かせたときを含む。)」と、同法第99条第1項から第3項まで、第100条第1項及び第3項並びに第104条の2中「この法律」とあるのは「この法律及び労働者派遣法第44条の規定」と、同法第101条第1項、第104条第2項、第104条の2、第105条の2、第106条第1項及び第109条中「使用者」とあるのは「使用者(派遣先の使用者を含む。)」と、同法第102条中「この法律違反の罪」とあるのは「この法律(労働者派遣法第44条の規定により適用される場合を含む。)の違反の罪(同条第4項の規定による第118条、第119条及び第121条の罪を含む。)」と、同法第104条第1項中「この法律又はこの法律に基いて発する命令」とあるのは「この法律若しくはこの法律に基づいて発する命令の規定(労働者派遣法第44条の規定により適用される場合を含む。)又は同条第3項の規定」と、同法第106条第1項中「この法律」とあるのは「この法律(労働者派遣法第44条の規定を含む。以下この項において同じ。)」と、「協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議」とあるのは「協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議(派遣先の使用者にあっては、この法律及びこれに基づく命令の要旨)」と、同法第112条中「この法律及びこの法律に基いて発する命令」とあるのは「この法律及びこの法律に基づいて発する命令の規定(労働者派遣法第44条の規定により適用される場合を含む。)並びに同条第3項の規定」として、これらの規定(これらの規定に係る罰則の規定を含む。)を適用する。
- この条の規定により労働基準法及び同法に基づいて発する命令の規定を適用する場合における技術的読替えその他必要な事項は、命令で定める。
解説
編集派遣労働者に対して、「派遣先」において適用される労働基準法の条項を定める。
- 「派遣先事業主」が「派遣元」と同等に適用されるもの
- 「派遣先の事業」のみが「派遣中の労働者」を使用する事業とみなされるもの
- 労働基準法第7条(公民権行使の保障)
- 労働基準法第32条(法定労働時間)
- 労働基準法第32条の2(1箇月単位の変形労働時間制)
- 労働基準法第32条の3(フレックスタイム制)
- 労働基準法第32条の4(1年単位の変形労働時間制)
- 労働基準法第33条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)
- 労働基準法第34条(休憩)
- 労働基準法第35条(休日)
- 労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)
- 労働基準法第40条(労働時間及び休憩の特例)
- 労働基準法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)
- 労働基準法第60条(年少者・深夜業)
- 労働基準法第61条(年少者・労働時間及び休日)
- 労働基準法第62条(年少者・危険有害業務の就業制限)
- 労働基準法第63条(年少者・坑内労働の禁止)
- 労働基準法第64条の2(妊産婦等・坑内業務の就業制限)
- 労働基準法第64条の3(妊産婦等・危険有害業務の就業制限)
- 労働基準法第66条(妊産婦の労働時間に関する制限)
- 労働基準法第67条(育児時間)
- 労働基準法第68条(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
- 「派遣元使用者」の管理責任
- 「派遣元使用者」は、派遣先において、以下の条項に抵触する場合、労働者派遣を行ってはならない。
- 違反して労働者派遣を行った場合、各々の罰則(刑事罰)が適用される。
- 労働基準法第32条(法定労働時間)
- 労働基準法第34条(休憩)
- 労働基準法第35条(休日)
- 労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)
- 労働基準法第40条(労働時間及び休憩の特例)
- 労働基準法第61条(年少者・労働時間及び休日)
- 労働基準法第62条(年少者・危険有害業務の就業制限)
- 労働基準法第63条(年少者・坑内労働の禁止)
- 労働基準法第64条の2(妊産婦等・坑内業務の就業制限)
- 労働基準法第64条の3(妊産婦等・危険有害業務の就業制限)
- 適用の拡張
- 労働基準法第38条の2第2項中「当該事業場」
- →「当該事業場(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第23条の2に規定する派遣就業にあっては、労働者派遣法第44条第3項に規定する派遣元の事業の事業場)」
- 労働基準法第38条の3第1項中「就かせたとき」
- →「就かせたとき(派遣先の使用者(労働者派遣法第44条第1項又は第2項の規定により同条第1項に規定する派遣先の事業の第10条に規定する使用者とみなされる者をいう。以下同じ。)が就かせたときを含む。)」
- 労働基準法第99条第1項から第3項まで、第100条第1項及び第3項並びに第104条の2中「この法律」
- →「この法律及び労働者派遣法第44条の規定」
- 労働基準法第101条第1項、第104条第2項、第104条の2、第105条の2、第106条第1項及び第109条中「使用者」
- →「使用者(派遣先の使用者を含む。)」
- 労働基準法第102条中「この法律違反の罪」
- →「この法律(労働者派遣法第44条の規定により適用される場合を含む。)の違反の罪(同条第4項の規定による第118条、第119条及び第121条の罪を含む。)」##労働基準法第104条第1項中「この法律又はこの法律に基いて発する命令」
- →「この法律若しくはこの法律に基づいて発する命令の規定(労働者派遣法第44条の規定により適用される場合を含む。)又は同条第3項の規定」
- 労働基準法第106条第1項中
- 「この法律」
- →「この法律(労働者派遣法第44条の規定を含む。以下この項において同じ。)」
- 「協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議」
- →「協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議(派遣先の使用者にあっては、この法律及びこれに基づく命令の要旨)」
- 「この法律」
- 労働基準法第112条中「この法律及びこの法律に基いて発する命令」
- →「この法律及びこの法律に基づいて発する命令の規定(労働者派遣法第44条の規定により適用される場合を含む。)並びに同条第3項の規定」
- 労働基準法第38条の2第2項中「当該事業場」
参照条文
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